予備知識無しに『Slate 21』を見せられた人のほとんどは、これをタブレットだとは思わないだろう。21.5インチのフルHD(1920×1080ピクセル)IPS液晶を搭載したスマートなデザインのボディ、フルサイズのキーボードとマウスがつながっている姿は、どこから見てもコンシューマ向けの一体型PCにしか見えないからだ。
しかし、実際にスイッチを入れて立ち上げると、『Slate 21』はAndroid 4.2.2(Jellybean)が動作するれっきとしたAndroidタブレットだとわかる。
主なスペックは次の通りだ。
- OS:Android 4.2.2
- CPU:NVIDIA Tegra 4 (最大1.8GHz)
- メモリ:1GB
- 画面:21.5型 IPSタッチディスプレイ
- 解像度:1920×1080ドット
- ストレージ:8GB
- 無線LAN:IEEE802.11a/b/g/n
- Bluetooth:Ver 3.0
- インターフェイス:USB 2.0×3、100Base-TX×1、SDカードスロット
背面は、純白で光沢のあるプラスチックで曲面を構成しており、シンプルながらデザイン性も高い
そして、電源を入れるとHPのロゴマークが表示されたのち、Androidのロック画面が登場して、ようやくこれがAndroidタブレットなのだと実感できる。
21.5型フルHDのIPSタッチパネルが高品質
あまりの画面の大きさに面食らったが、実際に触って見ると中身はスタンダードなAndroid端末だとわかる。ホームアプリはタブレット向けのスタンダードな仕様となっており、プリインストールされているアプリもシンプル。特筆したいのは液晶パネルの品質の高さだ。カタログでは水平視野角が178度、垂直視野角178度となっているが、実際に左右や上下から画面を見ても色や明るさの変化がほとんど感じられない。普段、スマホやタブレットを利用していると、視野角はよほど酷くない限り気にしないが、同じAndroidの画面でこれだけ見え方が異なると、改めて認識させられる。
ボディは大きなタブレットのような、角や背面を曲面でうまく処理した形状になっており、前述したように白いカラーと光沢のある仕上げもあって、デザイン性が高い。背面にはスタンドが付いており、バネによって自由に角度を変えることができる。もっとも立てた状態で70度、もっとも寝かせた状態で15度になるので、デスクトップPCのように使う場合は立てて、タッチパネルを活かして手書きで図やイラストを画く寝かせるといった、使い分けが簡単にできる。
ひとつだけ、注意しておかなければいけないのが、画面の回転についてだ。スマホやタブレットは、アプリによって縦位置または横位置で操作が固定されているものがある。一方で『Slate 21』は、画面は横位置に固定されており、ボディの構造上、縦位置にすることができない。
そのため、縦位置で画面設計されたアプリの場合は、ディスプレイの中央に縦位置の画面が表示され、左右が黒く塗りつぶされた状態になるのだ。4対3の古いテレビで、16対9のコンテンツを表示したときに上下が黒くなる「レターボックス表示」が、90度回転したようなもの。
また、中には上手く縦位置表示に切り替わらず、本来の縦位置の画面が16対9の横幅いっぱいに引きのばされた形で表示されてしまうケースもあるようだ。この減少にしろ、レターボックス表示にしろ、フルHDの解像度を生かし切れていないのは残念だが、「Androidデスクトップ」という、特殊なフォームファクターにおいては、致し方ない部分でもある。