カーペット・絨毯・ラグ/カーペットができるまで

カーペットのものづくり(製織編)(2ページ目)

前回の「カーペットのものづくり(ウール紡績編)」に引き続き、今回は、カーペットの生産工程を紙面工場見学という形でご紹介します。カーペットのものづくりにも日本ならではの、技術力、きめこまかい配慮がされています。ぜひご覧ください。

堀田 将矢

執筆者:堀田 将矢

カーペット・絨毯ガイド

 

「織工」と呼ばれる職人の手で織られるウィルトンカーペット

さて、前段取りで整えた糸は、織機の後ろから織機の前(実際に織る場所)まで、奇麗に整頓されて伸びています。
糸が前まで伸びています

糸が前まで伸びています

いよいよ織り工程です。
下の写真の大きな緑のものが「おさ」と呼ばれているものです。少し古いですが、日本昔話でおばあちゃんが、カシャンカシャンと手で引っ張っているのを思い浮かべていただけるとわかりやすいかもしれません。「おさ」が手前にカシャンカシャンとくることで、糸を織り込んでいきます。

この写真は「ウィルトン」と呼ばれている織機です。
ウィルトンを織る人のことを、敬意をこめて「織工」と呼んでいます。「織工」という職人は、「機械がカーペットを織っているわけではない。人が織っている手伝いをしているのが機械だ」、というほど熟練した技術が必要で、一人前になるには10年はかかると言われています。

余談ですが、この織機で国内で生産している会社は4社程度しかなく、機械の台数も20台程度しか残っていません。そのすべてが大阪にある会社です。
織機の前

織機の前

下の写真は「シャットル」と呼ばれる部品で、カーペットの緯糸(よこいと)を左から右、右から左へと飛ばします。これもおばあちゃんが、左から右へ、右から左へ、手で糸を飛ばしていることを思い浮かべてみてください。
シャットル

シャットル

下の写真は、「ワイヤー」と呼ばれているもので、カーペットのふかふか感だったり、カーペットのループやカットといったテクスチャーを出すために使う道具です。

通常カーペットは毛が輪っかになっているループパイルの状態で出来上がってきますが、ワイヤーの先にカッターナイフがついていて、それが左から右へ引っ張られて、ループのてっぺんを切っていくことで、カット商品ができあがります。
ループ商品をつくる場合は、カッターナイフがついていないワイヤーをつかって生産されていきます。

 

ワイヤー

ワイヤー1(何枚も重なっている金属のものがワイヤーです)

ワイヤーひく

ワイヤー2(カッターナイフで糸を切っている様子です)

こうやって生産されるカーペットは下の写真のようなロール上に織り上がっていきます。下の写真のようなロールの大きさ(20m)になるには、およそ2日程度かかります。
ロール

ロール(織り上がっていっているロール上のカーペット)

まだまだこのままではカーペットになりません。6000本もの糸を織りあげていくと、どうしても糸が切れてしまったり、結んでいる部分があったりと、そのままでは出荷できません。そのために、「補修」という工程で、織っている最中には気づかず、「傷」になっているの部分を、針と糸で補修をしていきます。補修が終わったロール状のカーペットは、カーペットの裏にノリを塗ります。アイロンで洋服のシワをのばすときにノリを塗るようなイメージです。
補修

補修(針と糸、様々な道具をつかって傷の補修を行います)

こうして、完成したカーペットは、最終の検査をし、お客様のご要望のサイズにあわせてカットされ、出荷されていきます。
検反,カット

検反,カット(通常では使われていないカーペット専用のリフトも活躍しています)

こうして出荷されたカーペットは、お客様の家で敷きつめる工事をして、ようやく商品として旅立っていきます。
完成

完成

このように完成するまで、およそ2ヶ月間の工程の中で、様々な人の手、愛情が込められてつくられています。

皆様がカーペットを購入する際に、ものづくりのことを少し思い浮かべてもらえると、愛着をもってお使いになることができるのではないでしょうか。

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