遺言書を作成したいときに相談すべき専門家とは
遺言書は作成したいが「自分で作成したものが無効でないか不安だ」という人は、遺言作成の専門家に相談することをおすすめします。相談先はいくつかありますが、それぞれにメリット・デメリットがあり、また遺言書を作成したい目的や、相続人の関係、財産の内容、費用負担などによって相談する専門家は違ってきますので、確認してみましょう。遺言作成の専門家とそれぞれの特徴
遺言作成の専門家は次のとおりです。●弁護士
法律の専門家である弁護士は、遺言作成においても最も信頼できる専門家です。また遺言内容や相続配分などで係争がおきた場合でも、当事者の代理として相手方との交渉もできます。
デメリットとしては「報酬が高いこと」が挙げられます。相続時に遺言に関して争いが予想される、その報酬に見合う遺産があるという場合は弁護士です。
●司法書士
バランス面で考えると司法書士になります。民法などの法律面も弁護士に劣らない知識がありますし、報酬は弁護士よりも安いことが多いです。また係争であっても、簡裁訴訟代理権認定を受けた司法書士は、簡易裁判所事件において請求額140万円までであれば代理人になることもできます。
しかしながら司法書士はあくまで相続登記の専門であり、デメリットとしては「不動産がない場合は遺言書作成の相談ができないこと」が挙げられます。相続対象になる不動産があり、大きな係争も心配なく、費用もほどほどにという場合は司法書士です。
●行政書士
費用を安くという面で考えると行政書士になります。書類作成の専門家である行政書士は比較的安い報酬で作成の相談を受けてくれます。デメリットとしては「係争の際は代理にはなれないこと」が挙げられます。係争の心配もなく、なるべく報酬を安くしたいという場合は行政書士です。
●税理士
相続時に相続税の心配がある場合は税理士になります。相続における税務は複雑ですので、遺言作成時から相続税の生前対策や事業承継まで相談できます。報酬も比較的安く、将来相続時に相続税の申告までスムーズに進めることもできます。
デメリットとしては「係争の際は代理にはなれないこと」「相続税に詳しい税理士が少ないこと」が挙げられます。特に税務面を重視したい、相続税に詳しい税理士がいる、費用もほどほどにという場合は税理士です。
弁護士や司法書士等の他にも相談先はいろいろとある
遺言作成の相談先は、士業のような専門家以外にもあります。●信託銀行
最も身近な相談先は信託銀行です。「遺言信託」という商品を扱っており、遺言作成・遺言保管・遺言執行などを一括して引き受けてくれます。
デメリットとしては「報酬が高いこと」「係争がある場合は遺言執行者にならないこと」が挙げられます。報酬が高くても、信頼性や永続性の安心、特にもめることもないという場合は信託銀行です。
●ファイナンシャルプランナー
相談窓口としての役割はファイナンシャルプランナーになります。直接遺言作成の相談を受けるというよりは、相談者の状況をあらゆる面から考え、どの専門家に相談すべきかの判断をしてくれます。あらゆる面での知識も豊富で、迷ったらまずは相談する先として考えられるのはファイナンシャルプランナーということになります。
それぞれの専門家によってメリット・デメリットはありますが、特に目立った問題等がない一般的な遺言作成においては、どの専門家にもそれほどの差はないと思います。遺言書を作成している人はおおむね1割程度のようです。「遺言書があれば……」、相続人からよく聞く言葉です。まずは思い立った時に専門家に相談することをおすすめします。
【関連記事】
遺言の効力はこんなにある!
相続人以外へも遺産贈与できる、遺贈って何?
「相続」を「争続」としないための相続対策のポイント