幼児食は親が頑張りすぎないことも大事
少しでも楽しくたくさん食べてほしいと、頑張って栄養や彩りを考え、時間をかけて作った食事を子どもがあまり食べないことほど、疲労感がたまることはありません。子ども用に別の食事を一生懸命作るよりも、大人の食事を取り分けて食べやすくすると、意外と食べることもあります。野菜たっぷりの味噌汁の味噌投入前の具を取り分けて、食べやすいように刻んでご飯に混ぜれば、だしの効いた具入りご飯になります。離乳食や幼児食の本では、野菜などもなるべく単品で素材の味を味わえるように、という記載があることもありますが、この時期は、すりおろしたり細かく刻んだりして料理に混ぜるだけで十分です。
調理法をひと工夫するのも手。たとえば、ニラは最初に切らずにラップで包んで電子レンジで加熱すると、甘みが出て食べやすくなります。れんこんのすりおろしは、加熱するととろみが出るので、あんかけを作る際にも応用できます。素材の変化を楽しみながら、少しだけ手間をかけるのもおすすめです。
それでも、目の前の「食べない」が気になる人に
この記事を読んで、食べないことを「気長に構えよう」「気にしすぎないようにしよう」と感じていただけたら嬉しいです。そうは言っても、目の前の子どもが食べてくれる秘訣をもっと知りたいという方もたくさんいらっしゃると思います。「家ではあまり食べないのに、保育園ではよく食べているみたい」というお話を耳にすることもあります。それは、決して家の食事がいやなのでなく、自分の食べる様子に大人の目が集中しない環境で、みんなにつられていることが大きいものです。保育園や幼稚園に通うようになると、園の庭で野菜を育てて収穫して食べる体験などもするようになります。野菜が苦手な子でも、そんな体験の中では、丸ごと食べられることも多いようです。
また、毎日食事を準備する側になると忘れがちな気持ちですが、子どもの頃、お手伝いをした食事は格別に美味しいと感じたこともあるでしょう。2歳前後になったら、時間の余裕のある時に安全に気をつけながらキッチンに入らせてあげることも、食欲アップにつながります。
「食べさせたい」という強い思いは食べさせる側の表情を硬くし、食卓が子どもにとって緊張に包まれた場になってしまいます。毎日のお子さんの食事を準備して食べる様子を見守る方が、「気にしすぎないようにしよう」と思うことができたら、その気持ちの変化や心の余裕は、必ず食卓の雰囲気として現れます。そのちょっとの変化による効果が、何より大きいかもしれませんよ!