原作ファンも楽しめる、漫画化に成功した良作
■作品名天地明察
■作者名
著:槇 えびし、原著:冲方 丁
■連載雑誌
アフタヌーン
■おすすめの理由
幕府の碁打ち渋川春海が、生涯をかけて改暦という大事業を成しとげる話です。
原作が人気の場合、漫画化したときに低評価がつくことが多いのですが、
これは漫画でも成功している良作。
それもそのはずで、ストーリーは原作に忠実、キャラづくりも丁寧。
さらに小説ではわからなかった数学の補足や天文関連の道具が絵として見られるので、原作を読んだ人も小説をもう一度読み直しているような感覚で、あたらしい発見を得られます。
この作品は気のいい魅力あふれる脇役がたくさん出てきますが、作者のあたたかい作風がその魅力を存分に引き出しているように思います。
ちょっと荒めのざっくりした絵が、細筆で描いているみたいで時代モノの本作に合うんですよね。
作者さん、原作好きなんだろうなあ……。
ちなみに表紙にひとめぼれして購入したのですが、同じように表紙を見て「いいな」と思った方にぜひオススメしたいです。
この雰囲気をまといつつ、絵馬同士がぶつかって鳴るカランコロン……という音の表現とともに春海の心情を描くシーンは、圧巻ですよ。