ドコモの取締役会の構成を分析
これに対して、ドコモの取締役はどのような構成でしょうか?ソフトバンクの取締役が8名であったのに対し、ドコモの取締役は14名にものぼります。それぞれの取締役会の略歴を見ると、14人中13人が親会社のNTT(9432)出身者です。1人だけは、野村総研の代表取締役専務、理事長を務めた村上輝康さんです。
ソフトバンクのように、社長の後任について心配する必要はなさそうですが、果たして取締役会において、どれだけ多角的で画期的な意見が繰り広げられているのでしょうか。
ソフトバンクのように多様な経歴の取締役が集って行われる取締役会。同じNTT出身の人が13人集まって行われる取締役会。長期的に見たときに、どちらの企業のほうが競争力を維持・向上させることができるでしょうか。
一面的にどちらが優れているとは言い難いですが、外部環境の変化に機動的に対応し、今までとは異なるビジネスチャンスを見つけ、実現していくためには、ソフトバンクのような取締役会構成のほうが適しているように思います。
もちろん私がそのようなことを言うまでもなく、ドコモ社内にもそのような問題意識はあるはずです。ドコモは、「アドバイザリーボード」を設置して、各界の有識者から経営全般についての意見、提案を聞いています。
西室泰三さん(株式会社東芝 相談役ほか)、伊藤元重さん(東京大学大学院 経済学研究科教授ほか)、菊地伸さん(森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士)、幸田真音さん(作家)、新宅正明さん(公益財団法人 スペシャルオリンピックス日本 副理事長)、寺島実郎さん(一般財団法人日本総合研究所 理事長ほか)、宮原秀夫さん(大阪大学 名誉教授)といった錚々(そうそう)たるメンバーです(※)。
しかしながら、3カ月に1回程度の頻度での開催にとどまるようです。また、取締役として重責を果たす当事者としての立場と、あくまでアドバイザーとしての第三者的な立場とであれば、自然とその貢献の仕方も変わってくるはずです。
取締役会の構成も、高度成長期に適した構成と、成熟社会で変化の早い時代に即した構成とがあるのではないでしょうか。
ソフトバンクもドコモも、日本の通信インフラを守る、とても大切な企業です。両者ともにしのぎを削って、よりいっそう良いサービス、社会インフラを構築してくれることを期待しましょう!
(※)第8期アドバイザリーボードのメンバー