巨額投資により活躍の場をアメリカに広げたソフトバンクと、日本における競合、NTTドコモ(9437)(以下、「ドコモ」と表記)とを、取締役会の構成の観点から比較していきたいと思います。
ソフトバンクとドコモの時価総額を比較
ソフトバンクとドコモの時価総額の推移を見てみましょう。時価総額は、株式市場がその企業全体に対してつけた価格です。時価総額がどのように推移してきたかは、ある意味、その企業の通知表です。株式市場の評価が必ずしも正しいわけではないのでしょうが、見てみましょう。
ソフトバンクが、ボーダフォンの株式を公開買い付けなどにより取得し子会社化、移動体通信事業へ参入したのが2006年4月でした。そのとき、ソフトバンクの時価総額は約4兆円であったのに対し、ドコモの時価総額は約7兆5000億円でした。ドコモの時価総額はソフトバンクの約2倍もあったわけです。
その後、ソフトバンクの時価総額は一時1兆円を切るほどまで低下しました。ちょうどリーマンショックのときです。借り入れが多かったソフトバンクについては、倒産するのではないか、といった声まで聞こえてくるほど、世界各国で信用不安が起こっていました。
しかし、携帯電話事業は、資金化の早い(毎月、利用料が自動引き落としで入金されてくる)堅実なビジネスですし、ソフトバンクは倒産することもなく、着実に業績を改善してきました。そして、今や時価総額はドコモを超える8兆円近くまで増加しているのです。
これに対してドコモは、一時10兆円近くまで時価総額が増加したものの、その後減少に転じ、現在7兆円ほどです。
なぜ、このような差が生まれたのでしょうか?その理由を次ページ以降で解説します。