いじめる側にも、いじめられる側にも読んで欲しい作品
■作品名ライフ (2002~2009)
■作者名
すえのぶけいこ
■巻数
全20巻
■おすすめの理由
別冊フレンドに2002年~2009年まで連載された「ライフ」。
壮絶ないじめに会いながらも立ち向かい戦い、成長する少女を描いた作品です。
2006年度の講談社漫画賞少女漫画部門を受賞し、ドラマ化もされました。
■あらすじ
大親友の夕子と同じ高校に通う約束をしていた歩は、自分だけが受験に合格してしまったことで夕子から絶交されてしまう。
そのショックでリストカットをするようになり、暗く内向的な性格になってしまう歩。
高校に入り、愛海はじめ数名と仲良くなり、彼氏である佐古に振られたショックで自殺を図る愛海を助ける。
そして愛海のために佐古の家に出向くが、佐古の変態的な性画像を発見したことで暴行されてしまう。
そして歩が佐古を奪おうとしていると勘違いした愛海は、壮絶で残酷ないじめを始める……。
一見明るくて社交的だが自己中心的な愛海。
実は好きでもないのに、親に命令され愛海と付き合っている卑劣なサディストで、自らも虐待を受けている佐古。
自分達では何もできないのに、愛海にへつらい、いじめに走るとりまき。
ドロドロとした重い感情を引きずっている高校生が登場しますが、そこにリアリティがあります。
いじめのことを「子供同士のいきすぎたじゃれ合い」「いたずら」と表現し、やり過ごそうとする大人が造り出す「健全でいじめのない高校生の現実」より真実味があります。
薄っぺらな口先だけの友情、リストカット癖、歪んだ性癖を持つ男からのレイプ、脅迫、壮絶ないじめ……もう抱えきれず自殺まで追いつめられる歩ですが、徐々に味方も増え支えられて戦いを決意するほど強く成長します。
いじめる側にも、いじめられる側にも読んで欲しいと思うような、絶望から再生、希望に向かう力強い作品です。