大人が読んだらドキッとする衝撃的な作品
■作品名ひばりの朝
■作者
ヤマシタトモコ
■巻数
全2巻
■あらすじ
主人公日波里(ひばり)は14歳の女の子。
14歳のおんなのこにしては肉感的な体。
体つきを見た人は、いまどきの子への勝手な妄想で
彼女の居場所をなくしてしまう。
母親からも体だけはいっちょまえと言われ
見た目と内容が一致しない14歳のおんなのこ。
日波里は、クラスメイトの囁く噂のような子供ではない。
大人が想像する淫らさを持ち合わせてない。
性に臆病な、性がなんなのかも知らないおんなのこなのだ。
見た目が、体つきが大人びて色っぽいだけなのだ。
そして、日波里は、家でも学校でも居場所を失う。
誰にも、母親にも理解されない。
そして日波里は、息を止めて目をつむる。
父親からの性的な虐待を受けていると
クラスメイトに面白半分に言いふらされ
クラスの中で居場所を完全に失う。
おんなのこの時代に子供であること、
体つきが大人になっても中身がまだ子供だと、思ってもらえない日波里。
男子からは、興味半分の目で見られ、女子からは嫌悪の目で見られる。
■おすすめ理由
この物語では、日波里はほとんど何もしない。
回りの人間が動いて日波里に対して感情を揺らしている、
彼女の従叔父にあたる完、完の彼女の富子、
完と富子の学生時代からの友人である憲人。
日波里の両親。
クラスメートの美知花、相川。
教師の辻。
それぞれが考えた日波里。
教師の辻と富子が日波里の気持ちを推測するが
行動には移さず、ただ見守るだけ。
中学時代は、少女の心を壊すには十分すぎる3年間。
救うにはとても足りない3年間。
中学時代のおんなのこ、いろんな解釈・見かたができるもんですね。
ちょっと衝撃的な作品でした。
大人が読んだら、ドキッとします。
いまどきの子、やっぱりいつの時代もおんなのこは複雑なんですね。