親は子供のおかげで楽しませてもらっている
■作品名相田みつを書、佐々木正美著 『育てたように子は育つ』
二人目の子供を出産してまもなく、実父を亡くしました。
この本は、父の死後、書斎を片付けている時に見つけたものです。
長いこと教育研究に従事していた父の書斎には、床が沈むほどの本が並んでいますが、
その中で最も私の気持ちに響いたのがこの本でした。
■おすすめポイント
「いい子」を育てるために!という前提で、タイトルの言葉だけを読んでしまうと
「では、愛情をかければよいのだな」というように取り違えてしまうかもしれません。
子育てを終えて、この言葉だけを見て、「育てたようには、育ってくれなかった」と思うのも
違います。そこには、自分のエゴや理想があるからです。
文章の中に「親にとって理想的であることが「自己の不在」と同義」とあります。
産まれてくるときには、「健康でさえあれば」と願っていたのにいつしか、欲が出て、
ここを褒めればここが伸びるかも!など、親の思い通りのことをした時にだけ強調して
褒めているということが私にもある……と考えさせられます。
私の尊敬する家族社会学者の先輩が、出産してまもなくの私に
「親は子供に『親』にしてもらったのだから」と言ったことがあります。
私の父も生前、孫と過ごした後には必ず「今日も楽しませてもらった」と言っていました。
「こう育てたい! 育てなくては!」ではなく、「子供ができたことで親として楽しませて
もらっているんだ」そんな気持ちを思い出させてくれる一冊です。
■商品データ
出版社:小学館 (1999年)
価格:1575円
HP:www.mitsuo-tv.com/shop/
※データは記事公開時点のものです。