映画/口コミでおすすめの青春映画(邦画)

幸福とは何かを問い掛ける 「学校」

幅広い年代の生徒が集まる、東京・下町の夜間中学を舞台にした群像劇。この映画のクライマックスは、「幸福とは何か」「人はなぜ学ぶのか」を教師と生徒たちが語り合う授業のシーンです。笑いあり涙ありの回想を挿入しながら、見事なディスカッションドラマが展開されます。

投稿記事

山田洋次監督がこだわっていた 「労働と教育」

■作品名
学校 (93)

■監督
山田洋次

■主演

西田敏行、田中邦衛

■DVD発売元
松竹ホームビデオ

■おすすめの理由
幅広い年代の生徒が集まる、東京・下町の夜間中学を舞台にした群像劇。

労働と教育というテーマは、山田洋次監督が1970年代からこだわってきた題材です。

『男はつらいよ 寅次郎かもめ歌』(80)にも夜間高校の授業風景が印象的に登場します。

この映画のクライマックスは、クラスの一員だったイノさん(田中邦衛)の死をきっかけに、「幸福とは何か」「人はなぜ学ぶのか」を教師(西田敏行)と生徒たちが語り合う授業のシーンです。

笑いあり涙ありの回想を挿入しながら、見事なディスカッションドラマが展開されます。

そして、生徒の和夫(萩原聖人)が「幸福とは……、ああ、生きてえなあとか、生きててよかったなあとか、そういうこと。でもよく分かんねえ」と語ると、それを受けて同じく生徒の江利子(中江有里)が「それを分かるために勉強するんじゃない。それが勉強なんじゃない」と語ります。

これは『男はつらいよ 寅次郎物語』(87)で、甥の満男(吉岡秀隆)に「人間は何のために生きてるのかな」と聞かれた寅次郎(渥美清)が「あ-生まれて来てよかったなって思うことが何べんかあるだろう、そのために人間生きてんじゃねえのか」と答えるシーンとも通じます。

山田監督は自作の中で常に幸福とは何かを問い掛けているのです。

富田勲がこの映画のために作曲したテーマ曲のタイトルもズバリ「幸せっていうのは」です。


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