映画/口コミでおすすめの青春映画(邦画)

塀の向こうに世界の終りはあるのか? 「PiCNiC」

「PiCNiC」のオープニングで病院に置いていかれるココは、「世界の終り」を見に、ツムジと塀の上を歩き始める。塀の向こうは何処につながっていたのか……。岩井俊二監督の青春映画です。

投稿記事

青い空から舞い降りた黒い羽根をもつ天使は……

■作品名
PiCNiC(1995)

■監督
岩井俊二

■出演
CHARA(ココ)、浅野忠信(ツムジ)、橋爪浩一(サトル)

■DVD販売元
ポニーキャニオン

■おすすめのポイント
子どもの頃の、道路の影やら白線を踏んで家へ帰ることに楽しさを感じていました。そして、記憶に残る遊びは「高鬼」。公園にはそれほど高い所がなく、中途半端で、直ぐに飽きてしまうツナギでしかなかった遊び。それでも印象が強いのは「高さ」への憧れだったのかもしれません。イメージだけなのですが、ブロック塀の上をずっと歩いたらどこへ行くのか、小さな冒険は、足元から始まっていました。

塀を歩くことは多くの人には異常なことに映ります。塀の上を歩いている人の目線はいたって普通の事です。『PiCNiC』のオープニングは白い衣服を着た女が道路の中央に真紅のバラをセンターラインのように並べている映像です。そのバラを踏みつけながら直進してくるリムジンが病院の前に停まり、迎えに出る病院スタッフ、嫌がる娘ココを置いて行く両親。それを眺める患者たち。ココの目線から映し出される世界は、病院スタッフの目の色の方が違っているように描かれています。

ある日、ココとツムジは病院の塀をたどって街を見に出かけます。立ち寄った教会の牧師は彼らを見て『さては天使が舞い降りたかな』と言う目には狂気の色はありません。地球が滅びることを願っているツムジに対し、地球の滅びる時は私の死ぬ時であると言うココ。エンディングへの伏線です。

再び「世界の終り」を見に塀を歩き始めます。クライマックスに、ツムジは贖い切れない罪のために「世界の終り」を願い、太陽に向って拳銃を打ちますが、叶いません。そこで、天使のココはツムジの願いを叶え、ツムジの罪を洗い流すために拳銃を握ります。そして……。

公園の塀の向こうは何処につながっていたのでしょう。

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