国土交通省はシェアハウスを「寄宿舎」に該当と通知
こうした事態を受けて、国土交通省はまず、多人数の居住実態がありながら、防火関係規定などの建築基準法違反の疑いのある建築物について、情報受付窓口を設けて情報提供を呼びかけました。違反の疑いがある建築物を把握した場合は、特定行政庁の判断で消防部局と連携して立ち入り調査を行ったうえで、適切な是正措置を講じるよう要請しています。また、不動産業関係団体、建設業関係団体、建築士関係団体宛てに、疑いのある建築物の賃貸の仲介を行わないこと、工事を受注した際などに情報提供を行うことなどを要請しました。
国土交通省の対応のなかでも注目されるのは、平成25年9月6日付の通知において、こうした「事業者が入居者を募集し、自ら管理する建築物に複数人を居住させる」貸しルームは、従前用途や改修の有無にかかわらず、建築基準法の「寄宿舎」に該当するとした点です。また、同じ通知において、図1~3のような間仕切壁を設けた区画は、「居室」に該当する点も明示しました。
国土交通省は、8月30日時点のこうした取り組みの状況について、9月25日に公表しました。その結果は、「建築基準法違反があり是正指導中の物件」が154件、「建築基準法違反があり是正指導準備中の物件」が37件あり、合計191件の違法貸しルームがあったことになります。ほかに、無違反や閉鎖中などの物件が33件、調査中の物件が506件という状況でした。
通常のシェアハウスへの影響は?
さて、国土交通省が「寄宿舎」など具体的な法解釈を提示したことで、脱法シェアハウスの是正措置が取りやすくなりました。しかし、脱法だけでなく、健全なシェアハウスにもその影響が及んでいます。ガイドが見学した通常のシェアハウスは、シェアハウスとして新築したものではなく、住宅や寮、旅館などの既存の建物をリノベーションしたものばかりでした。その中には、木造住宅を改修したものも含まれます。建築基準法上、木造一戸建てに比べると、共同住宅は防火性能などの規制が厳しくなっています。このため、木造一戸建てをシェアハウスにリノベーションした場合、寄宿舎としての基準を満たさない可能性があり、シェアハウス業界が困惑しているという状況が生まれています。
健全に運営されているシェアハウスは空き家再利用なども期待できる