今回は東日本大震災に伴う「災害公営住宅」(復興住宅)についてのお話です。被災された方々が一刻も早く応急仮設住宅の不自由な暮らしから抜け出し、整った環境で生活できるよう災害公営住宅の早期供給が求められる中ですが、震災から2年半経過した今でも、実際に完成したのはまだまだわずかな数です。この記事ではその理由について理解していただくと共に、先日、災害公営住宅に関するちょっと面白い施設を見学してきましたので、そのこともご紹介したいと思います。

被災3県の高台で地価が高騰

今月19日、7月1日時点の各都道府県の地価調査(基準地価)が国土交通省から発表されました。その最大のトピックスは、三大都市圏の商業地が、リーマンショックが発生した2008年以来、上昇に転じたこと、さらに全国的(山梨県を除く)に住宅地の価格が上昇、もしくは下落幅が縮小したことでした。

女川町

宮城県女川町の今年4月の様子。津波で横転した建物がまだ残っていた。沿岸部の平地は危険なため住宅を再建できない(クリックすると拡大します)

私は経済、不動産価格の専門家ではありませんからハッキリとしたことを申し上げられませんが、現政権による「アベノミクス」効果によって景気が回復しつつあることの証であるように感じられます。東京五輪の招致も決定しましたし、もしかしたら今後しばらくは好景気が続くのかもしれませんね。

現に各種報道によりますと、東京中心部の億ションが完売するほど不動産市場は活況を見せ始めています。それだけでなく、住宅需要そのものも大幅な伸びを記録しているとのことです。まぁこれは消費税率上昇を見込んだ駆け込み需要とも考えられ、10月以降はどうなるのか不透明な状況ではありますが。

さて、このような景気回復を思わせる状況の中、未だに厳しい環境にあるのが東日本大震災の被災地の方々です。前述の基準価格で上昇率の上位10地点のうち岩手県と宮城県、福島県が占めました。1位となった岩手県大槌町大ケ口1丁目の30・5%をはじめ、9位までが10%を超える上昇率でした。

岩手県大槌町大ケ口1丁目は商業地を含めても、全国ナンバーワンの上昇率だといいます。調べてみると、ここは平地が少ない大槌町の高台に位置するそう。このように津波被害の心配がない場所が、上昇率の高い地点なのです。自治体による災害公営住宅の建設・供給や被災者自らの自宅再建が遅々として進まない背景には、明らかに建設に適した土地の不足があるということを私たちは改めて認識すべきです。

建設資材や人件費の上昇も復興の阻害要因に

加えて、災害公営住宅の供給の障害となっていることに、建設資材の高騰と大工さんや職人さんの不足と賃金の上昇があります。それは総合すると住宅の建築コストの上昇につながります。例えば仙台市において、生コンクリートは2011年2月時点と比べ13年1月では3~4割上昇し、今も高止まりしている状況です。

職人さん

住宅などの建築物の施工をする大工さんや職人さんが不足している。そのため賃金も上昇し、結果的に建築コストの高止まりが続いている(写真はイメージ。クリックすると拡大します)

ある調査によると、住宅の建設コストは今年5月の時点で震災前と比べて7%ほど上昇しているといいます。引き渡し時期も長期化する状況が継続しているようで、特に地元の中小工務店などではその度合いが深刻な状況。ここまで難しい話が続きましたが、被災地で早期に住宅再建を目指す方々にとっては、非常に難しい時期であることが、なんとなくわかってもらえれば結構だと思います。

さらに、被災自治体の多くで、被災者の自宅再建や災害公営住宅の建設のための計画づくりに時間を要したことも、2年半が経過した今でも、それらの進捗がはかどらない理由の一つともいえます。仮に計画ができていても、平野部の被災地では数メートルの盛り土をして宅地として造成し、その後、住宅を再建するという段階を踏まねばなりません。

仮に盛り土をするにしても、その範囲は膨大で、これまでに書いてきた状況を考えると大変な作業になると思われます。さて、話の焦点を災害公営住宅に合わせると、実はその建設のあり方にも問題がある、と主張する人たちもいます。

というのは、災害公営住宅は基本的に鉄筋コンクリート造と木造で建てることが基本なのです。逆にいうと、工業化(プレハブ)住宅などは想定されていないのです。こうした状況を変えようと、あるハウスメーカーが面白い取り組みを行っているので、次のページでご紹介します。