子どもを叱る際の注意
最近は、子どもを叱るときにもしっかり理由を説明することが推奨されています。そうでないと、子どもは人格を否定されたような気になり、反省を次の行動に活かすことができないからです。子どもにはふさわしい語りかけ方があります
もちろんこれは正しいと思います。しかしながら理由の説明の仕方が問題です。大人は子どもを叱る時にもつい、相手が子どもであることを忘れてしまいます。ですから、理由を説明する場合にもとなに話すようなやり方をしてしまいがちなのです。
大人の論理で理由を長々と説明しても子どもには全く伝わりません。馬の耳に念仏とはよく言ったもので、耳に入る声を遮断して叱られる時間がすぎるのをひたすら待つのです。というのも、大人の話は長くて理解不能だからです。せっかく理由を説明しているつもりでも、全く伝わらないのなら意味がありません。
子どもに叱られている理由を話すなら、それを理解させることが大切です。そのためには一方的に話す態度を改めなくてはなりません。子どもの目を見て、どこまで話についてきているか確認しながら話を進めます。
また目を見るだけでなく、途中で確認することも大事です。「わかったの!」と強く言えばわかっていなくても「うん」と頷いてしまいます。冷静に「ここまでは、わかったかな?」と確かめます。さらに、わかったかどうかの確認だけでなく、「なぜ?」「なにを?」「いつ?」など子どもにも話させます。言葉のキャッチボールをすることで、お互いに理解が進むのです。
勉強を教える時も同じ
さて、ここまでは叱る場合を例にあげてきましたが、実は勉強も同じです。子どもがどこまで理解しているかを確かめながら学習を進めないと、進度がはかどっても理解が追いついていかないことになります。子どもが幼くなればなるほど、この理解度の確認が大切になります。幼児向けの教材もそれを作っているのは大人なので、問の表現が子どもに通じないことがあります。例をあげます。
「りんごを1人に2つずつ配ったら、いくつあまりますか?」という問題なら、「1人に2つずつ」とはどういうことか、「いくつあまる」とはどういうことかが解らない子どもは少なくありません。子どもの理解度に応じて、言い換えをする必要があります。
ですから、子どもと話をするときには、子どもの精神年齢に合わせた言葉を選びながら、短いながらもきちんとしたセンテンスで語りかけるようにしましょう。
「あなたは、このおもちゃが珍しくてさわってしまったのね」「だけどこれはAちゃんのものでしょう?」「もしもあなたの大事な◯を、Aちゃんが勝手に使ったらどんな気持ち?」「自分がされたら嫌なことは、他の子にしないようにしようね」
「ここにあるりんごを、あなたに2個、ママにも2個というふうに、みんなに配るのね。そうしたら、配らなかったりんごはいくつになるかな?」
このように、子どもが理解できる表現を使って段階的に語りかけます。
繰り返しになりますが、子どもの目や表情の動きをよく観察して、通じているのかどうかを確かめながら話すことで、子どもの理解度が高まるのです。