浅野支店長の動機は株取引で5000万円の借金
信用取引とは
株式投資には、「現物取引」と「信用取引」の二つがあります。
「現物取引」とは、現金を証券会社に入金して、その資金で株式を売買する取引です。
例えば、ネット証券の場合は前金制なので、100万円を入金すれば、100万円分の株式を購入できます。この場合、買いからしか入れないので、売買益を得るには「安く買って、高く売る」必要があります。株式相場が軟調な地合いでは上昇する銘柄も少なく、売買益を得るには難しくなります。
上昇相場のみ、参加したほうが良い取引方法です。
この場合の最大損失は、投資した金額の全額です。現物取引で購入した銘柄が、倒産した場合などは投資金額がゼロになってしまいます。しかし、投資金額以上に損失が出ることはありません。
「半沢直樹」の浅野支店長は、損失分として○○証券に5千万円を入金していたので、現物取引ではないことが判ります。
浅野支店長が行っていたと思われるのが、もうひとつの「信用取引」です。
「信用取引」は、証券会社に預けてある現金で株式を買うのではなく、証券会社に現金や株式などの有価証券を担保にして、お金や株券を借りて取引します。
証券会社からお金を借りて、株を買うことを「信用買い」と言います。この場合、売買益を得るには、現物取引と同様に「安く買って、高く売る」必要があります。
証券会社から株式を借りて、株を売ることを「信用売り」と言います。この場合は、現物取引と全く逆で「高く売って、安く買いもどす」と売買益を得ることが出来ます。故に株式市場の下げ局面でも収益を狙うことが可能です。
「信用取引」を使えば、株式市場の上げ局面でも下げ局面でも収益を狙うことが可能になり、投資のチャンスが大きく増えることになります。なぜなら、株式市場ではずっと上昇し続けることはないからです。上昇したり、下落したり、もみ合ったりして株価が形成されていくからです。
レバレッジ(てこ)
それでは、何故、浅野支店長は現物取引ではありえない損失分を証券会社に入金する必要があったのでしょうか?それは、「信用取引」の持つレバレッジ(てこ)の仕組みのためです。
「現物取引」の場合、投資金額30万円の場合、30万円分しか投資できず、例え投資した銘柄が倒産しても、投資金額が0になるだけです。
しかし、「信用取引」の場合、現金30万円を担保に入れると、藤本の所属するSBI証券の場合その約3倍の100万円分(証券会社によって異なります)の取引が可能になります。
30万円の現金を担保に入れて、100万円分の「信用買い」を行った場合、その銘柄が倒産して全額が損失となった場合の、最大損失は100万円(手数料・金利などを考慮せず)です。
元々の投資金額は 30万円だけなので
100万円(損失額)-30万円(担保)=70万円
となり、損失分の70万円を証券会社に入金しなければいけないことになります。
このように、信用取引は、投資した金額以上に損失する可能性があります。
信用取引は良く切れるナイフ・包丁
それでは、「信用取引」は、個人投資家が使ってはいけない取引なのでしょうか?その答えは「否」です。
「信用取引」は、良く切れるナイフ・包丁に例えることが出来ます。切れないナイフ・包丁で料理をするよりも、良く切れるナイフ・包丁でしたほうが、美しく,美味しい料理が出来ます。
しかし、自分の身を傷つけた場合、より深い傷になる可能性もあります。「半沢直樹」の浅野支店長は、「信用取引」の使い方を誤ってしまったのでしょう。
次回から、数回に分けて、福の神式 「信用取引」の活用法をご説明いたします。
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