きらりとセンス光る にくの匠 三芳
牛肉は品種や銘柄牛に始まり、部位の種類も豊富で且つ個性もさまざま、明らかに部位によって向き不向きの調理法があります。食材として非常に奥が深い為、どんなに評判の高い料理人でも、各部位、個性を活かして使いこなす料理人はそう多くはいないのではないでしょうか。今回ご紹介する祇園の「三芳」は、割烹を通して、牛肉という食材が持つ様々な表情を見せてくれるお店です。テイクアウトの牛肉弁当
部位考案の錬金術師
大将のセンスの良さを感じる一つに、新しい部位の考案、活用があります。例えば9月のメニューからは、たんの身皮です。これはタンの身と皮の間の部分を切り出したもの。タンのお造りを出す際にあまった部位といえばそれまでなのですが、きれいに切り出すことで、コリっとした食感が楽しい、立派な一品が出来上がります。こういったいわゆる端材をいかに昇華させてお客さんに喜んでもらえる商品に化けさせるかは、各店、大将の腕の見せ所ではないでしょうか。また、以前いただいた部位で面白かったのは、ヒレささみ。ヒレ耳とシャトーブリアンの間に鶏のササミの三倍ぐらいの赤身があり、スジを丁寧に取り除くと、このヒレささみが現れます。このヒレささみを、叩き風にして頂きましたが、まるで馬肉のような赤身の美味しさに驚きます。このように、牛肉を専門に扱う焼肉店や鉄板焼きでもお目にかかることが出来ないような部位を、適切な調理法で提供し、楽しませてくれるのが「三芳」の最大の魅力です。メニューは月替りとなっていますが、9月のお品書きから一部をご紹介します。
・タンの身皮の白和え
新食感な身皮
タンの身皮と白和え
美しいタン刺し
テールのお椀
花山椒のお凌ぎ
自家製の近江牛(チチカブ)の脂で揚げているので、牛肉の風味がほんのりイチヂクにもうつっています。
ヘットで揚げたイチヂクとバジル
8年前からの定番メニューです。出汁の香りをまとったサーロインが美味。
出汁しゃぶ
メインの牛の炭火焼
3年前に初めて大将のお料理をいただいた時は、一品一品、もっと肉肉しさが前面に出たお料理でしたが、現在は少し料理寄りになっており、年齢を重ねたお客さんでも、馴染みやすい印象を受けます。これは大将がより牛肉の特性の理解を深めた証のようにも感じます。研究熱心な大将のことですから、今後の変化や進化がとても楽しみなお店でもあります。
店内はカウンター席とテーブル席があり、カウンターからは大将の手元がよく見えるので、肉好きであれば是非ともカウンターを陣取りたいところ。大将の冗談も冴え、楽しいひと時をおくれることでしょう。
同店で特に美味しい体験をした思い出の部位:タンの身皮、ヒレささみ、ランプ、サーロイン、大将が夜なべをして作るテールカレー
■にくの匠 三芳
・住所:京都府京都市東山区祇園町南側570-15
・TEL:075-561-2508
・営業時間:18:00~23:00(L.O.22:00)
・定休日:日曜日(日曜が祝日の場合営業、翌月曜日休み)
・地図:Yahoo!地図情報