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今さら聞けない!? 酸蝕歯と虫歯の違いとは?

酸性食品で歯が溶ける「酸蝕症」(さんしょくしょう)が注目されています。しかし実は虫歯だって歯を溶かすんです。この2つの違いについてまとめてみました。

丸山 和弘

執筆者:丸山 和弘

歯科医 / 歯の健康ガイド

酸蝕歯と虫歯の違い

歯が溶ける

酸蝕歯も虫歯も酸で歯を溶かす

■原因
・虫歯
プラーク(歯垢)が砂糖などを栄養にして酸を出す
・酸蝕歯 
酸性食品そのものが歯を溶かす

■症状
・虫歯 
歯の一部分が溶けて穴ができる
・酸蝕歯 
歯の全体が薄く溶ける

■自己補修に有効なもの
・虫歯 唾液
・酸蝕歯 唾液


酸性食品摂取の注意点

酸蝕症の原因は、一般的には酸性食品が多いですが、実際にはそれが全て酸蝕症のリスクかというとそうではありません。主食のようにさまざまな食品をバランスよく食べると、よく噛むことにつながり、唾液の分泌が活発に起こります。唾液は、酸蝕歯を修復するだけでなく、食事中も酸を強力に中和しようとするからです。

食後にも唾液成分が酸性を中和し続けるため、ちょっとした酸性食品がすぐに酸蝕症を引き起こすといった過度な心配はしなくても良いでしょう。

ただし注意が必要なのは、強い酸性食品が長時間に渡って歯に触れるような状況です。唾液成分が洗い流されたり、よく噛む必要がないような酸性食品だけを頻繁に食べたり飲んだりするのは、酸蝕症のリスクを高めてしまいます。


それぞれの歯磨きのタイミングについて

■酸蝕症
最近歯磨きのタイミングを食後すぐではなく、できるだけ時間が経過してから行なうような考え方も出てきました。確かに酸蝕症に関しては、主食ではなく間食で強い酸性食品を時間をかけて食べたあとなどは、歯磨きのブラッシングによる刺激で摩耗を加速するおそれがあります。しかし通常の食事後の歯磨きに関しては、それほど心配しなくてもよいと思います。

■虫歯
次に唾液によって中和するまで、歯磨きまでの時間をあけるかどうかですが、実はプラークの内部は唾液が入り込みにくいため、中和にかかる時間が酸蝕症より必要になるといわれています。

しかしこれは食事の際、すでに大量のプラークが歯に付着しているような場合の話です。つまり普段から歯磨きをほとんど行なわないか、いつも同じ場所に磨き残しがある場合です。

普段から普通に歯磨きを行なっているのあれば、食事の時に大量のプラークが付着しているとは考えられないため、わざわざ歯磨きの時間を遅らせなくても良いケースも多いと思います。

プラークの少ない口腔内であれば、歯磨きのタイミングはそれほど気にしなくても良いでしょう。しかしプラークが多ければ、歯磨きの時間を少し遅らせたほうが良いと思います。

でも結局は食後に歯を磨くまでの時間をあけるかどうかということより、やはりキチンと毎日確実にプラークを落とせているかどうかの方がはるかに大切なことだと思います。
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