貯蓄は減少だが、負債は増加している
負債の状況は?
負債残高の平均値は469万円で、前年比1.5%の増加となりました。このうち勤労者世帯だけに絞ってみると負債残高は695万円となり、前年と比較して7.4%の増加となっています。
調査を開始した2002年以降では、2人以上世帯の勤労者世帯の負債残高は過去最高額となっています。2002年と比較すると、金額で88万円、率にして14.5%増となっていますが、反面、同期間の収入は金額で57万円、率にして7.6%の減少となっていることから、勤労者世帯の返済負担は厳しくなっていることが予測されます。
負債が増加しているといっても、生活費や教育費などの借入れではなく、勤労世帯の93.2%は住宅、土地のための負債であることから、マイホームの購入や建築による負債なので負債の部類では健全なものと思われます。ただし、家計に占める住宅ローン返済割合などは調査されていないため、住宅ローンの返済が家計を圧迫しているのか否かまでは判断がつきません。
勤労者、官公職員、経営者etc.世帯主の職業別の貯蓄額は
家計調査年報では、勤労者および勤労者以外を職業別にわけて調査を行っています。まずは貯蓄から見ていくことにしましょう。全体像から述べると、2人以上の世帯では勤労者以外の世帯が占める割合は48.1%、世帯主の平均年齢は67.8歳。1世帯当たりの貯蓄残高の平均は2115万円です。一方勤労者世帯が占める割合は51.9%、平均年齢は47.6歳となっており、貯蓄残高の平均は1233万円となっています。勤労者世帯よりも、法人経営者や個人経営者、あるいは高齢者などが多額の貯蓄を保有していることがわかります。
勤労者の世帯主の職業別の貯蓄残高では、官公職員の世帯(平均年齢47.4歳)が1673万円で最も多く、次いで民間職員の世帯(同47.2歳)が1342万円、労務作業者の世帯(同48.4歳)が907万円となっています。民間企業の勤労者よりも公務員の方が貯蓄額が多いのは、収入に差に起因していると思われます。
勤労者以外の世帯では、法人経営者の世帯(平均年齢57.8歳)が3418万円と最も多く、次いで個人経営者の世帯(同57.4歳)が2388万円、自由業者の世帯(同55.8歳)が2285万円となっています。
世帯主の年齢別の貯蓄額はいくら?
勤労者世帯については、世帯主の年齢階級別の1世帯当たりの貯蓄残高も見てみると、年齢階級が高くなるに従って貯蓄残高も増えています。30歳未満の世帯は290万円、30歳~39歳は569万円、40歳~49歳は988万円、50歳~59歳は1609万円、60歳以上は2171万円となっています。また、年齢階級別の負債額では、30歳未満の世帯は302万円、30歳~39歳は929万円、40歳~49歳は1002万円、50歳~59歳は516万円、60歳以上は195万円となっています。金融資産だけに着目すれば、50歳以上で貯蓄額が負債を上回る「純資産がプラス」の状態になるようですが、不動産などの実物資産を加えれば、純資産がプラスになる年齢はもっと低くなると推測されます。
簡単ですが、2人以上世帯の貯蓄額、負債額を見てきました。皆さんの家計は平均値を上回っていましたか、それとも下回っていたでしょうか。上回っている家計は持続できるように、下回っている家計は頑張る必要があるといえるでしょうが、あくまでも平均値、つまりひとつの目安に過ぎないということは忘れないでください。