お金のことを親に相談してもダメな理由とは
「持ち家は資産になる」「掛け捨ての保険はもったいない」など、こういった親世代の言葉を聞いたことがあるでしょう。お金のことを親に相談してもダメなのはなぜ?
親世代は土地の値上がりや、保険の予定利率が高かった時代を経験していますので、それを当たり前のように思っている場合があります。しかし、今は経済状況が大きく変わり、親世代の経済観念とズレがあることが多々あります。
生命保険文化センターから発表された「令和元年度 生活保障に関する調査」では、自分自身の老後生活について、「不安感あり」は84.4%、「不安感なし」は13.2%と、8割以上の人が老後生活に対する不安を抱えている結果となっています。
今の時代、将来が見えておらず、どう家計を管理したらよいかわからず、不安だけが残るというような生活を送っています。
平均年収が増えていた親世代の高度経済成長期と同じように、マイホームを持ち、子どもには高い教育を与えるといった消費行動は変わらないのに対し、世帯の平均年収はなかなか上がりづらい傾向があります。支出は高度経済成長時代のままなのに、収入減となれば、家計のバランスが崩れるのは当然です。
一番身近な人生の先輩は親ですので、お金のことを親に相談することもあるでしょう。しかし、基本的に親の言うことは20年も30年も前のことなので、時代遅れであることも多いのです。
もっともだと思えることも言ってくれますが、育った環境、時代背景なども加味しながら、自分の頭でしっかり考えることが必要です。また、それこそが自立した大人とも言えるのではないでしょうか。
親からの精神的・経済的自立できていますか?
私自身、20代前半までは「公務員や優良企業に勤めてほしい」という親の敷いたレールに乗った生き方をしていました。年頃になり「結婚⇒出産⇒2人目出産⇒マイホーム取得」という親の世代が理想とする結婚生活を歩んできました。そして、年を重ねることで親離れ子離れができず、親への依存度が高かったのだと気付くと、本来の自分はどこにいるのだろうか?と真剣に考え始め、そこから初めて精神的にも経済的にも自立ができたように感じます。とても遅い自立でした。
困った時に親と助け合って生きることはとても大切ですが、親がいないと生活ができない、生きていけないという「依存型」の場合、自立した大人とは呼べません。
私たちは親に育てられてきたのだから、いずれは立場が逆転し、老親を手助けする立場となります。その時に自分自身が親から精神的にも、経済的にも自立していなければ、老親を看取ることは難しくなります。
自立した生き方が求められる時代
終身雇用制度が崩壊し、会社員でいることで必ずしも安定が保てるとは限らない時代となりました。家計の安定は心の安定に結びつきます。一昔前までは、良い企業に就職できることは、将来の安定を約束されたようなものでした。だからこそ、良い大学を卒業することが求められ、学歴が重要視されました。しかし、時代は変わり、良い大学を出ても良い企業に就職しても、経済的に安定するわけではなく、それに代わって人間力や強いメンタル(精神力)、お金を扱う能力が必要になってきたのだと感じています。
親の子どもに幸せになってほしいという想い、そして親の期待に沿いたいという子どもの想いが、親子で時代の変化の受け入れを妨げ、結果的に子どもの自立を遅らせてしまうという結果になってしまうことがあるのです。
学歴や就職先、結婚相手に安定を求めるのではなく、自分自身で安定を作り上げるために、お金を稼ぐ力、お金を守る力、お金を投資する力、といったお金に対する生きる力も身に付けることが重要になってきていると感じます。
家計管理は人生のかじ取り
家計管理能力は「お金を守る力」です。家計管理や家計簿の役割には、支出をコントロールするということにあります。支出をコントロールすることは人生のかじ取りで、このかじ取りができないと、日常の生活を維持したりリスクに備えるための基盤を築くことができません。家計管理能力は日々の消費生活でも十分身に付けることができます。この能力をしっかり身に付けることができると、お金を稼ぐ力や投資する力にも波及し良い影響を与え、資産を形成できる状態を作り上げることができます。
親は子どもに対し、良い学歴・良い就職先・良い結婚といったレールを敷くのではなく、自立した大人となり、どんな状況になってもやっていける、「生きる力」を子どもに授けていかなければいけないと、子どもを持つ親としてファイナンシャル・プランナーとして日々感じています。
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