思ったよりも自己資本比率が高くないトヨタ自動車
トヨタ自動車(7203)といえば、日本を代表する企業ですよね。直近の売上高は22兆円。当期純利益は9621億円。リーマンショックの年こそ赤字になりましたが、それ以外は継続して黒字です。そのトヨタ自動車の自己資本比率は34.2%(2013年3月期)。この数値を見て、私は不思議に思いました。「あれだけの優良企業である割には、ちょっと低すぎない?」というのが私の疑問です。
感覚的なものですが、これだけ黒字を出しているのなら、自己資本比率は60%くらいあってもおかしくないのはないでしょうか。それなのに実際には34.2%。
そこで今回は、トヨタ自動車が黒字企業の割に自己資本比率が低い理由を考えていきましょう。
自動車等セグメントと金融セグメント
トヨタ自動車という巨大企業は、その事業特性に応じて、大きく2つのセグメントに分けることができます。「自動車」セグメントと「金融」セグメントです。自動車等セグメントはその名の通り、自動車とその関連部品・用品の設計、製造及び販売を行っています。これに対して金融セグメントは、その自動車の販売を補完するための金融と、車両等のリース事業を行っています。
トヨタ自動車の有価証券報告書には、それぞれのセグメントの決算書が記載されています。
そこで、金融セグメントの決算書を見てみましょう。ちなみに、金融事業といえば、国内ではオリックス(8591)が代表的ですから、オリックスと比較しながら見ていきます。
トヨタ自動車の金融セグメントの総資産は16兆2000億円であるのに対し、オリックスの総資産は8兆4000億円です。また、トヨタ自動車の金融セグメントの売上高は1兆1700億円であるのに対し、オリックスの売上高は1兆600億円です。さらに、トヨタ自動車の金融セグメントの営業利益は3150億円であるのに対し、オリックスの営業利益は1500億円です(いずれも2013年3月期決算の金額)。
なんと、国内最大のリース会社であるオリックスよりも、トヨタ自動車の金融セグメントのほうが、総資産、売上高、営業利益のいずれの点でも規模が大きいのです!
トヨタ自動車の自己資本比率が低い理由を、次のページでさらに詳しく分析します。