個人年金保険は保険会社の経営破たんの影響が大きい
個人年金保険は、20年・30年以上の長期にわたって保険料をコツコツと積み立て、その後も、5年・10年などの間、年金を受け取ります。つまり、加入から年金受取終了まで30年以上も保険会社とお付き合いをするということ。その間に、保険会社が経営破たんしたら困りますよね。生命保険会社が経営破たんしても、保険契約が消滅してしまうわけではありません。「生命保険契約者保護機構」という第三者機関が、経営破たんした会社の契約者を保護するしくみが整備されているからです。
といっても、契約内容がそのままの状態で保護はされません。責任準備金が10%カットされるとともに、予定利率の引き下げも行われるので、保険金・年金が減少することがあります。
保険金・年金がどれくらい減額されるかは、貯蓄性の高い保険と保障性の高い保険(いわゆる、掛け捨て保険)とで異なります。また、契約時期、保険期間によっても異なります。
減額幅は、予定利率の高い時期に契約した貯蓄性のある保険で、保険期間が長いほど大きくなります。つまり、個人年金保険は貯蓄性がある点と保険期間も長い点で、減額幅が大きくなるということです。ですから、保険会社の経営破たんの影響を被りやすく、ゆえに、会社の経営の健全性が大切な選択ポイントの一つになるのです。
なお、これから加入する契約はそもそも予定利率が低いので、契約時期による影響は小さいでしょう。
保険会社の健全性は3つの数値で確認
では、生命保険会社の経営状態はどう判断すればいいでしょうか? いろいろな判断材料がありますが、一般の人は、下記の3つの数値をチェックすればいいでしょう。ただし、これらの数値が安全ラインを示していても、ゼッタイに経営破たんしないということではありませんので注意してください。
チェックポイント1:ソルベンシー・マージン比率
生命保険会社は、将来の保険金などの支払いに備えて責任準備金を積み立てています。そのため、通常予測できる範囲のリスクには十分に対応できます。しかし、大災害や株式の大暴落など、予測できない出来事が起こることもあります。ソルベンシー・マージン比率は、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる支払い余力を備えているかを判断するための行政監督上の指標の一つです。200%を下回ると、早い段階に経営の健全性を回復させるため、監督官庁から早期是正措置が発動されます。つまり、健全であれば200%以上あるということです。
チェックポイント2:基礎利益
生命保険会社の本業の収益力を示す指標の一つ。これが十分に確保されていれば、逆ザヤの契約があったとしても、それを上回る利益を出していることになり、健全性が確保されていると考えられます。チェックポイント3:格付け
格付け機関と呼ばれている会社が公表している、生命保険会社の「保険財務力」または「保険金支払能力」の格付けをチェックします。よく知られている格付け機関は、格付投資情報センター(R&I)、S&PグローバルSFジャパンなどです。格付けは、機関ごとに独自の表記のしかたをしています。R&Iは、アルファベットを使っており、各付けが高い順にAAA→AA→A→BBB→BB→CCC→CC→Cと表記しています。BBB以上が望ましいとされています。
これら3つの数値は、各社のディスクロージャー誌やHPで確認できます。ただし、格付けを取得していない保険会社は格付けを掲載していません。