株・株式投資/決算書からチェック!気になる銘柄の株価

M&Aを繰り返す上場企業への投資は慎重に

企業の合併で問題になってくるのが、「実質的存続性」。合併などを利用した裏口上場を防止するための規制です。合併により事業内容や経営陣が大きく変動した企業へ投資するときには慎重な姿勢で臨みましょう。

日根野 健

執筆者:日根野 健

公認会計士ガイド

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合併や商号変更を繰り返す企業は要注意

合併や商号変更を繰り返す企業は要注意

優良企業の決算書の優れた点ばかりを見ていては、決算書を読み解くチカラはつきません。この会社の決算書の、ココはちょっと……という部分について今回は解説します。

今回取り上げるのは、2013年9月11日に上場廃止になる予定のジパング(2684)です。

合併、商号変更と激変するジパングの沿革

1995年7月、通販事業『TVショッピング』に置けるeコマースを目的として、株式会社プライムが名古屋市に設立されました。

事業は拡大し、2000年12月にジャスダックに上場しました。2000年6月期の売上高は100億円、2001年6月期は同140億円、2002年6月期は同253億円と順調に事業は拡大していきました。

ところが、その後、徐々に売上高は減少していきました。2003年6月期は173億円、2004年6月期は124億円……。
【図1undefinedジパング社(旧プライム社)の売上高、当期純利益と株価の推移】

【図1 ジパング社(旧プライム社)の売上高、当期純利益と株価の推移】
(クリックで拡大)

そこに現われたのが、ジパングという非上場の会社です。

ジパング社は1995年5月に、国内唯一の鉱山会社を目指して設立されました。ジパング社は、2008年10月に、当時グリーンシート市場に店頭取扱有価証券として登録していた株式会社アスクリンクを存続会社(商号はジパングに変更)として合併しました。

さらに、2010年1月には、ジャスダックに上場する株式会社プライムを存続会社(商号はジパング・ホールディングスに変更。その後2011年7月に、ジパングに変更)として合併したのです。

旧ジパング社の株主は、上場企業であるプライム社との合併によって株式を割り当てられ、上場企業の株主となりました。割り当てられた株式数が多かったことから、旧ジパング社の株主たちが、新ジパング社の大株主になったのです。

こうして誕生したジパング・ホールディングス(2684)は、プライム社が行ってきた通販事業と、ジパング社が行ってきた鉱山事業の2つの事業を主に行う企業となりました。

ところが、合併からわずか8カ月後、2010年9月に、ジパング社は通販事業を他社に売却してしまうのです。また、代表取締役も、旧ジパングの代表取締役であった松藤氏のみとなり、プライム時代からの田端代表取締役は退任することとなりました。

上場企業の合併で問題になる「実質的存続性」とは?続きは次のページで>>>
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