インスリンとがんの関係
植物は種子を紫外線による変異から守るために色素などのファイトケミカルスを用意しています。野菜・果物を十分に取って、体の抗酸化力を高めましょう。
・ インスリン
・ 高血糖
・ 炎症
研究者はおそらくこのいずれもが役割を果していると考えています。
最新の研究でも、不足しているインスリンを注射で外部から補う、いわゆる外因性インスリンとがんとの関係は明らかにすることはできませんでした。完全に解明されたわけではありませんが、インスリン抵抗性があるために必然的に高インスリン血症になってしまう、内因性の高インスリンが「がん」の成長因子ではないかと考えられています。
肝臓や膵臓は前述のとおり、高インスリンレベルの臓器ですし、高インスリンが卵巣の性ホルモン分泌を高め、卵巣がん、子宮がん、乳がんへとリンクしている可能性があります。期待されていた吸入式インスリンが中止に追い込まれたのも、肺の深部に吸い込んだインスリンが、たぶん、既にあった肺がんの増殖を促進させるリスクがあったためです。
関連記事:吸入式インスリン、やはり肺ガンを促進か?
2008年の(米)がんリサーチ誌に、がん細胞にインスリン受容体が多く発現している乳がんは、そうではない乳がんに比べて病気の経過、つまり予後が悪いという論文が載りました。インスリンは細胞の成長(増殖)を促進し、アポトーシス(細胞のプログラム死)を抑制します。同じ頃発表された別の論文にもインスリンはがん細胞をより侵略的にし、転移しやすくするというものがありました。
がんと高血糖の関係
このように糖尿病とがんの関連に関してはインスリンが最も疑わしいのですが、糖尿病による高血糖そのものが「がん」の増殖に寄与するという見方もあります。がん細胞は急激な増殖のためにエネルギー源のブドウ糖や酸素を多量に必要とし、そのために新生血管をたくさん作って血液を集めます。通常は細胞は取り込んだブドウ糖を解糖系とTCA回路と2段階に分けてエネルギーを全て取り出すのですが、ある学説によると、がん細胞は高出力のTCA回路に障害があるらしく、低出力の解糖系に大量のブドウ糖を取り入れて、中間産物の乳酸を大量に放出しているようなのです。これが正しければ間違いなく糖尿病の高血糖はがん細胞を元気にします。筋肉細胞と脂肪細胞を除く全身の細胞は、ブドウ糖を取り込むのにインスリンは要りませんから、高血糖ほどがん細胞には好都合なのです。
がんと炎症
2型糖尿病や肥満は慢性の炎症状態だという記事を紹介したことがあります。炎症マーカーのひとつであるC反応性タンパク(C-reactive protein)は、あるタイプのがんのマーカーでもあるので、炎症と肥満、2型糖尿病、がんの連携を示している可能性があります。関連記事:炎症から糖尿病に? 抗炎症薬でA1Cが低下!
糖尿病とがん、治療と予防法
糖尿病患者はがんによる死亡率が高いことが報告されています。確かな理由は分かりませんが、2001年に発表された論文では米国の糖尿病のある女性は、そうでない女性と比べて、乳がん検診を受ける率が明らかに低いそうです。専門家は糖尿病治療にお金と時間、関心が奪われるからではないかと推測しています。確かに身体のあっちこっちにトラブルを抱えていると、がん検診までは気が回りません。結局、手遅れになるケースが多くなり、死亡率も上がるのでしょう。がん検診については厚生労働省のページをご覧ください。http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_kenshin01.pdf
また、糖尿病患者ががんになったり、がん患者が糖尿病と診断されるといろいろな困難に直面します。抗がん剤の副作用を抑えるためにグルココルチコイドのようなステロイドを投与すれば高血糖になります。鉄則は、抗がん剤を制限するのではなく、血糖コントロールをより集中して強化することです。当記事では医学的なアドバイスをすることを控えますが、がん治療と糖尿病治療を連携できる内科医はとても少ないと思います。糖尿病とがんを併せ持つ人は、できるだけ多くの正確な知識を医療プロバイダーから受けて、治療の決定に参画しなくてはなりません。がんのスクリーニングだって糖尿病の担当医からのアドバイスはないと思います。糖尿病は自分で治療するものだということを忘れないでください。
なお、がん予防と糖尿病治療(予防)の生活習慣改善は寸分なく全く同一のものです。共通の危険因子は加齢、男性、肥満、低身体活動量、不適切な食事(赤肉・加工肉の過剰摂取、野菜・果物・食物繊維の摂取不足)、過剰飲酒、喫煙などです。当サイトにはアドバイスがいっぱいありますよ!
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