角川作品の長所・短所が色濃く表れた魅力あふれる作品
■作品名戦国自衛隊
■監督
斎藤光正
■主演
千葉真一、夏八木勲
■DVD/Blu-ray販売元
角川映画
本作は角川映画初期の有名なアクション作品です。70~80年代にかけて角川映画は既存の大手映画会社とは違う戦略(派手な宣伝やキャッチコピー等)で頭角を現し個性的な作品群を作り続けました。
これらはいくつかの類型に分類でき、例えば薬師丸ひろ子さん、原田知世さん等のスター映画、横溝正史氏の金田一シリーズや森村誠一氏の社会派小説のドラマを劇場映画化した作品群、そして本作の様なファンタジーや時代物と融合させた一連のアクション大作映画です。
本作と同系の作品には有名な『里見八犬伝』や『魔界転生』があり懐かしく感じる方も多いのではないでしょうか。
これらは映画史に残る名作というものではありませんが、独特の個性・味わいがあり個々の作品に根強い固定ファンが付いています。
本作は初期作品ということもあり、角川作品の長所・短所がどちらも色濃く表れており、改めて観直してみて大変面白かったです。
まず長所としては画面に漲るパワーがすばらしいです。
千葉さん、夏八木さんという現在の俳優には見られない、精悍で野生的でギラギラし、だけどどこか余裕がありエネルギーの満ちている二人が軸です。
CGではない体を張ったアクション、お金をかけたセット・衣装、爆破炎上シーンの豪快さなど、ハリウッドに負けないアクションを作ってやろうという意気込みが伝わってきます。
短所はよく指摘されることですが、まず兵器・武器の扱い方を含め自衛隊の描き方のひどさです。今では考えられないことですがこの映画は自衛隊に協力を拒否されてしまったことで有名です。
ただ興味深いことに自衛隊の全面協力を得て作られたリメイク版は肝心なアクションシーンが退屈で、設定がメチャクチャだった旧作の足元にも及びません。
またストーリーのご都合主義や何故か英語のテーマ曲、伊庭三尉の好戦的すぎるキャラクターなど突っ込みどころは満載です。
しかしこれらの欠点を吹き飛ばすテンポの良さ、ストーリーのハッタリの面白さ、破天荒なパワーで細かいことはむしろ愛嬌にさえ思える、そんな魅力あふれる作品です。