日本株のバリュエーションは、依然として魅力的な水準にある
昨年12月以降、日本株は大きく上がったものの、「日本株のバリュエーションは依然として魅力的な水準にあります」と水澤さんは指摘します。「日本株(東証一部)のPER(株価収益率)は2014年3月期予想が14.1倍、2015年3月期予想が12.8倍であるのに対し、アメリカ株(S&P500)は15.3倍と13.8倍です。日本株は大きく上がったものの、割高な水準ではありません。
また、企業収益の面から見ても、日本(東証1部)の1株あたり利益(EPS)の成長率は2013年予想が46%であるのに対し、アメリカは7%、日本を除くアジア(MSCIインデックス)は13%となっています。
ここまでの外国人投資家による買いは、短期的な循環の買いが多かったものと思われます。この先、本格的に企業業績が回復に向かえば、長期投資をする外国人投資家も日本株を買うようになるでしょう」
アベノミクスによる景気回復期待にも支えられ、世界の中でも大きな業績改善が見込まれる日本企業の株式は、今後注目に値するというわけです。
とはいえリスク要因もある
どうやら日本株市場は、長く続いた低迷からようやく抜け出しつつあると言えそうです。とはいえ、リスク要因がないわけではありません。「日本株投資をするうえで頭に入れておきたいリスクとしては、構造改革が十分に進まないことや賃金が上昇しないこと、急激な円安が進む、長期金利が上昇する、世界経済が減速することなどが考えられます」
賃金が上昇しなければ、消費の拡大も期待できません。また、賃金が上がる前に急激な円安が進み、輸入物価が上昇したら、消費は拡大するどころか冷え込む恐れもあります。
日本の公的債務が増え続けるなかで長期金利が上昇したら、日本政府の抱える借金の金利が膨らみ、日本経済への大きな打撃になるでしょう。世界経済の減速は、輸出産業が強い日本経済にとっては大きなマイナスです。
「ですが、企業業績と賃金とには高い相関関係があり、企業業績が回復すれば賃金もいずれは上昇するでしょう。急激な円安や長期金利上昇のリスクもそれほど高くはないでしょう。世界経済の減速などのリスクはあるもの、長い目で見れば日本株は上昇トレンドが続くものと思われます」
次は、日本株投資の注目業種についてです