背面収納を工夫することで、スッキリとしたオープンキッチンを常に保て、調理家電を使いやすく配置できます。レザルクの実例
作業の変化を吸収してきた背面収納(バックセット)
システムキッチン本体の主な機能は、食材や食器を洗うシンク、加熱料理のためのコンロ、調理や配膳を行う作業台、食器や道具類の収納といえます。日本のシステムキッチンは、これらを機能的に集約するため進化して来ました。一方、「背面収納」(バックセット)は、食器だけでなく電子レンジや炊飯器などを収納し、使う場所として開発されてきました。その需要の多くをまかなってきたのは、主に収納家具メーカーでした(もちろんシステムキッチンメーカーも優れたバックセットを開発しています……)。
そこに加わってきたのが、新世代の調理家電です。健康調理器や小型ミキサー、エスプレッソマシン、電気ポット、ホームベーカリー、たこ焼き器、調理用スケール、フライヤー、卓上食洗機等々、その種類は年々増えるばかりです。また家族の趣味嗜好によって、その選択は大きく変化するので、メーカーもついていけないのが実情でしょう。
新たな調理スペースとしてのバックセット
多様化する調理家電に対応した最先端の背面収納。扉の開き方も、跳ね上げ式や引き込み式など様々に工夫し、調理家電を使いやすくしています。レザルクの例
ここでバックセットの主な選択肢について整理してみましょう。
1)システムキッチンメーカーのバックセット
2)建材メーカー製キッチンのバックセット
3)家具メーカーのバックセット
4)オーダーキッチンやシステム収納メーカーのバックセット
どれにも一長一短があり、どれが一番とはいえません。例えばシステムキッチンメーカーの場合、背面収納にもキッチン本体と同じシステムを採用するケースが多く、キッチンとデザインを統一できるのはメリットですが、調理家電に対する配慮はまだ発展途上のようです。
建材メーカーは、リビング収納やクローゼットを作っていることもあり、キッチンのバックセットも充実しています。リビング収納などとコーディネートしやすいのもメリットです。ただし、建材メーカー製キッチンの機能やデザインに満足できないという場合もあるでしょう。
家具メーカーの背面収納は、高級品から廉価品までバリエーションが豊富で家具としての質が高く、扉に天然木を使ったものもあります。ただしサイズに制限があり、空間にピッタリと合わせるのは難しいようです。
注目はオーダーキッチンメーカーの背面収納
既存のキッチンにオーダーの背面収納を追加したマンションの実例。不足しがちな収納量を補い、オーブンなどのビルトイン機器を使いやすい高さに設置しました。冷蔵庫もきっちりと納められています。レザルクの実例
そのなかで今回注目したいのは、オーダーキッチンメーカーのバックセットです。サイズや面材を自由に設計できるうえ、調理家電を上手にしまうノウハウも充実しています。マンションなどの場合、キッチンがすでに決まっていて、オーダーキッチンを依頼できないケースもありますが、バックセットだけでも注文を受けてくれるメーカーもあります。キッチンや収納のコンサルティングに慣れたスタッフが対応してくれるので、個人的な要望に親身に応えてくれます。
ここで気をつけたいのは、調理家電などを置くカウンターの高さです。キッチンの高さが重要なのと同様、調理家電の使い勝手も高さによって変わります。できればキッチンのカウンターの高さと合わせると(あるいは少し高め)、使い勝手もよくなるでしょう。
調理家電を見せたくないときは、扉で隠すこともできます。その際は、開いた扉が作業の邪魔にならないよう注意します。
扉を上に持ち上げるスイングアップ扉や、左右に扉を引き込めるタイプにしたり、全面を大きな引き戸で覆ってしまうケースもあります。どれくらいの頻度で調理家電を使うか、収納量はどれくらいかも合わせて選択するとよいと思います。
また背面収納に、ビルトインのオーブンなどをセットすることもできます。ヨーロッパのビルトイン機器は、サイズの規格が統一されているので、他社製品やニューモデルとの交換も容易にできるよう工夫されています。日本の調理家電や冷蔵庫も、規格統一されると便利なのにと思います。
次のページでは背面収納を充実させるヒントをご紹介!