家具・インテリア/インテリア家具の選び方・飾り方・アイテム

背面収納(バックセット)でキッチンは蘇る

「キッチンが手狭になって使いづらい」、「マンションのキッチンに不満がある」と感じている方は多いのではないでしょうか。最近は調理家電の種類も増え、調理の仕方も大きく変化しています。その一方、まだまだ進化中といえるのが「背面収納」(バックセット)といえるでしょう。

塩野 哲也

執筆者:塩野 哲也

空間デザインガイド

「キッチンが手狭になって使いづらい」、「購入したマンションのキッチンに不満がある」と、日々の調理のなかで感じている方は多いのではないでしょうか。日本は世界的にみても、特殊な調理環境を持っています。和洋中と様々な食事をとることに加え、最近は調理家電の種類も増え、料理方法も大きく変化しました。その一方、まだまだ進化途中といえるのがキッチンの「背面収納」(バックセット)。キッチンを使いづらいとお悩みの方は、まずは背面収納を見なおしてはいかがでしょう?
レザルク1

背面収納を工夫することで、スッキリとしたオープンキッチンを常に保て、調理家電を使いやすく配置できます。レザルクの実例


作業の変化を吸収してきた背面収納(バックセット)

システムキッチン本体の主な機能は、食材や食器を洗うシンク、加熱料理のためのコンロ、調理や配膳を行う作業台、食器や道具類の収納といえます。日本のシステムキッチンは、これらを機能的に集約するため進化して来ました。

一方、「背面収納」(バックセット)は、食器だけでなく電子レンジや炊飯器などを収納し、使う場所として開発されてきました。その需要の多くをまかなってきたのは、主に収納家具メーカーでした(もちろんシステムキッチンメーカーも優れたバックセットを開発しています……)。

そこに加わってきたのが、新世代の調理家電です。健康調理器や小型ミキサー、エスプレッソマシン、電気ポット、ホームベーカリー、たこ焼き器、調理用スケール、フライヤー、卓上食洗機等々、その種類は年々増えるばかりです。また家族の趣味嗜好によって、その選択は大きく変化するので、メーカーもついていけないのが実情でしょう。

新たな調理スペースとしてのバックセット

レザルク3

多様化する調理家電に対応した最先端の背面収納。扉の開き方も、跳ね上げ式や引き込み式など様々に工夫し、調理家電を使いやすくしています。レザルクの例

日々の調理を考えると、キッチンの前に立っている時間よりも、調理家電を使っている時間の方が長いという方も多いのではないでしょうか? とはいえ、キッチンのカウンター上に調理家電を並べたくないというのも本音でしょう。いま、背面収納には調理スペースとしての役割りが求められているのです。

ここでバックセットの主な選択肢について整理してみましょう。
1)システムキッチンメーカーのバックセット
2)建材メーカー製キッチンのバックセット
3)家具メーカーのバックセット
4)オーダーキッチンやシステム収納メーカーのバックセット


どれにも一長一短があり、どれが一番とはいえません。例えばシステムキッチンメーカーの場合、背面収納にもキッチン本体と同じシステムを採用するケースが多く、キッチンとデザインを統一できるのはメリットですが、調理家電に対する配慮はまだ発展途上のようです。

建材メーカーは、リビング収納やクローゼットを作っていることもあり、キッチンのバックセットも充実しています。リビング収納などとコーディネートしやすいのもメリットです。ただし、建材メーカー製キッチンの機能やデザインに満足できないという場合もあるでしょう。

家具メーカーの背面収納は、高級品から廉価品までバリエーションが豊富で家具としての質が高く、扉に天然木を使ったものもあります。ただしサイズに制限があり、空間にピッタリと合わせるのは難しいようです。

注目はオーダーキッチンメーカーの背面収納

レザルク2

既存のキッチンにオーダーの背面収納を追加したマンションの実例。不足しがちな収納量を補い、オーブンなどのビルトイン機器を使いやすい高さに設置しました。冷蔵庫もきっちりと納められています。レザルクの実例


そのなかで今回注目したいのは、オーダーキッチンメーカーのバックセットです。サイズや面材を自由に設計できるうえ、調理家電を上手にしまうノウハウも充実しています。マンションなどの場合、キッチンがすでに決まっていて、オーダーキッチンを依頼できないケースもありますが、バックセットだけでも注文を受けてくれるメーカーもあります。キッチンや収納のコンサルティングに慣れたスタッフが対応してくれるので、個人的な要望に親身に応えてくれます。

ここで気をつけたいのは、調理家電などを置くカウンターの高さです。キッチンの高さが重要なのと同様、調理家電の使い勝手も高さによって変わります。できればキッチンのカウンターの高さと合わせると(あるいは少し高め)、使い勝手もよくなるでしょう。

調理家電を見せたくないときは、扉で隠すこともできます。その際は、開いた扉が作業の邪魔にならないよう注意します。

扉を上に持ち上げるスイングアップ扉や、左右に扉を引き込めるタイプにしたり、全面を大きな引き戸で覆ってしまうケースもあります。どれくらいの頻度で調理家電を使うか、収納量はどれくらいかも合わせて選択するとよいと思います。

また背面収納に、ビルトインのオーブンなどをセットすることもできます。ヨーロッパのビルトイン機器は、サイズの規格が統一されているので、他社製品やニューモデルとの交換も容易にできるよう工夫されています。日本の調理家電や冷蔵庫も、規格統一されると便利なのにと思います。

次のページでは背面収納を充実させるヒントをご紹介

  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます