まずは、主要先進国の貯蓄率の推移をチェック
「タンス預金にへそくり、投資に回さず銀行預金」。このような、日本人が貯蓄を好む風潮を表す言葉がありますが、近年の日本にはこの言葉は当てはまらないようです。次のグラフは、先進国の主要5カ国の家計貯蓄率(以下、貯蓄率)を比較したものです。
このグラフによると、
- フランス 16.2%
- ドイツ 10.4%
- イギリス 6.5%
- アメリカ 4.2%
- 日本 2.3%
グラフが始まっている1995年を見ると、日本は5カ国の中ではフランスに続いて2位でした。ところが、わずか7年で最下位に転落しています。こんなに下落が著しいのは日本くらいです。
4位のアメリカはずっと低空飛行ですが、そのアメリカすら下へ抜いてしまいました。アメリカで生活をしたことがある友人の話などを聞いて、筆者は日本人のほうが堅実的で、アメリカ人のほうが浪費的なイメージを失礼ながら持っていたので、この結果には驚きました。
日本人は堅実的ではなくなってしまったのでしょうか。
日本の貯蓄率は1980年代以降、低下傾向に
貯蓄率とは、世帯収入のうち消費に回さない部分のことをいいます。日本はかつて、貯蓄率の高い国でした。1970年代の貯蓄率は20%を超えていました。当時は勤労世代の人口が増加し、高度成長期から安定成長期への移行期で、所得が高い伸び率を示していたからです。
しかし、1980年代から貯蓄率は低下傾向となり、2000年には急速に低下。2008年には0.4%まで落ち込みました。その後は持ち直しますが、2011年は2.3%と低水準になっています。
1970年代は筆者が生まれた頃です。今、自分も親になっていますが、さすがに子育てをしながら20%の貯蓄率を維持するのは厳しいです。
次ページでは、日本の貯蓄率が低下した理由を考えてみましょう。