配当と株価は理論的には無関係だが……
配当金の多い企業の株価は上昇し、少ない企業の株価は下落するのでしょうか?実は、株価と配当金は理論的には関係がありません。
例えば、銀行預金100万円があるとしましょう。これに利息が1万円つき、預金残高は101万円になりました。
では、
A. 銀行預金に101万円を預けたままにする。
B. 銀行預金から1万円を引き出す。
どちらの方が得でしょうか?
どちらでも同じですよね。配当金も同じことがいえます。
企業が事業活動により利益を1株当たり1円獲得しました。その結果、1株当たり純資産が100円から101円に増加しました。
A. 配当をせずに1株純資産を101円のままにする。
B. 1株当たり1円を配当する。
いずれも株主価値に変化はありません。
ただし、配当により株主の手元に戻ってきた資金は、他の魅力的な銘柄に投資することができます。そういう意味では、投資先の企業が使わない現預金を多額に保有しているのであれば、それを配当する方が、投資家としては望ましいといえます。
また、投資家の立場で考えれば、少し違ったとらえ方をします。投資家、特に機関投資家は、手元の資金を何で運用するかを常に考えています。もっと詳しくいえば、国債や株式などを比較しながら、何に投資するかを考えます。ですから、機関投資家は、国債利回り(10年)と株式の配当利回りとを常に比較しています。
一般的には「国債利回り>配当利回り」となるはずです。なぜなら、株式は値上がりによる利益を期待できる分、国債よりも低い利回りでも購入するインセンティブがあるからです。
ところが今の日本では(2013年6月末現在)、国債利回り0.845%に対して、配当利回り1.82%と逆転現象が起こっています。これは、日本株がまだまだ割安とも考えられますし、逆に日本国債が割高すぎるとも考えられます。
こういう意味では、配当利回りが少なからず株価形成に影響しているともいえます。
では、投資先の企業の配当金が適正かどうか、次ページで解説しましょう。