LDの一人当たりの面積が左右する?
前ページで、家族で過ごす時間が多い家はエネルギー消費量が少ないということを説明しましたが、これらの家の家族はエネルギー消費を抑えるために、同じ空間にいるわけではありません。言ってみれば、家族が好んでその場で過ごしたくなるような間取りになっていると言えるでしょう。そこで、同調査では、夕食後に家族が一緒に過ごすことの多い場所、LDに注目。過ごし方の違いとLDや住宅の面積を比較しながら、さらに分析しています。●夕食後の過ごし方別の一人当たり面積平均 LD面積平均→住宅総面積平均
LDKで家族全員が一緒に過ごす 7.1平米 →35.3平米
しばらくLDKで全員が一緒に過ごした後、各自の個室に行く 6.3平米 →35.4平米
LDKにいる家族と、すぐに個室に行く家族がいる 5.7平米 →34.5平米
上に示したのは、一人当たりのLD面積平均と、一人当たりの住宅総面積平均。夕食後の過ごし方別に見ていくと、家族全員がLDKで過ごす家庭の平均は7.1平米なのに対し、すぐ個室に行く家族のいる家庭の平均は5.7平米。住宅面積平均も小さくなっていますが、LD面積平均との差ほどではありません。このことから、夕食後に家族一緒にLDKで過ごすには、ほかの空間よりもLDを広さを優先的に確保することがとても重要であることがわかります。
夕食後の過ごし方とLDKのプランは深い関係があるようです
こういったケースが示すように、LDKを中心とした空間がオープンになっていたり、ほかの空間に連続性があると、夕食後も、何となくそこに留まり、一緒に過ごす時間が増えていくという様子が想像できます。
視線を遮る場所がポイント
特に、多様な居場所をもつLDKは、家族のいろいろな過ごし方が重なりやすいようで、子離れが進む中学生以上の子どもがいる家庭で、続き間をもつLDの場合は、そうでない場合と比べて、一緒に過ごす割合が多くなっています。また、キッチンの形態でも、ペニンシュラ型や吊り戸棚のないカウンター型など、オープンなタイプの方が、そうでない場合に比べて、家族が一緒に過ごす割合が多いという結果になりました。これは、家族がLDKにいながら別々のことをしていることを示唆しています。例えば、母親がキッチンで作業していながら子どもは続き間で勉強している場合など、家族がそれぞれ自分のことをしながら、互いの気配が感じられる空間がよいということでしょう。同調査では、家族の気配を感じながらも、隠れられる居場所が必要だと考えられるとしています。実際、キッチンから視線の通らない場所が複数あるほうが、そうでない場合に比べて家族が一緒に過ごす割合が多くなっているようです。
変化に対応できる多様性をもつ
以上の調査結果や分析から、家族が一緒の時間を増やせる家にするには、同じ部屋にいながら別々のことができるしかけが必要だといえます。そのためには、まず、LとDとKをひと続きにするなど、制約のある中でもLDをできるだけく広くとることを心がけましょう。その上で、LDに続き間を設けたり、キッチンから視線が通らない場所をつくるのがポイント。こういった間取りの工夫があれば、子どもの成長に伴って家族の過ごし方が変化しても、柔軟に対応できる空間になると思います。その結果、家族が一緒に過ごす時間を増やすことで家族のコミュニケーションがさらに深まり、光熱費の削減につながる。いいことづくめの結果になるということではないでしょうか。実際、最近の新築住宅は、オープンなLDKや、リビング階段の間取りを採用している家が多いように思います。