空間を有効活用できる壁面収納
家族が集まり、くつろぎの時間を過ごすリビング。空間プランやインテリアコーディネートはもちろん、さまざまなモノが集まるリビングは、収納プランの良し悪しも居心地に影響するものです。リビングの収納計画としては、壁面を利用した収納をプランニングするケースが多くみられます。壁面収納とは、文字通り、壁面を利用した造り付け収納のこと。一般的には、部屋の一面すべて、床から天井までを隙間なく利用し、空間を有効活用したスタイルですが、目的や用途によっては、床近くや天井近くだけ、一部分だけを利用したものなど、さまざまなプランが考えられます。
テレビを中心に、壁面全体を用いたプラン。家族で用いることができるパソコンコーナーも確保して。 [MiSEL(ミセル)] DAIKEN
床材や室内扉とコーディネートできるタイプ、リフォーム向けの商品も
壁面収納は、造作としてプランニングするケースもありますが、建材メーカーや家具メーカーなどの商品を取り入れるケースも多いでしょう。新築やリフォームで多く用いられる建材メーカーの商品には、リビングだけでなく、ダイニングや寝室などさまざまな空間に適した壁面収納が揃っています。収納するモノや空間に合わせて、サイズやユニット、扉材やパーツなど、自由に選び組み合わせることが可能なのが特徴。また、床材や室内建具などとコーディネートしやすい商品もあり、空間全体としてもプランニングしやすいでしょう。最近では、既存の空間に、ぴったりと納まるように、細かなサイズ変更が可能なタイプ、施工期間が短いものなど、リフォームでも取り入れやすい商品もみられます。
Point1 収納するモノをリストアップし、数量、サイズを確認する
リビングの壁面収納をプランニングする際には、まず、その空間で家族がどう過ごすのかをイメージして、必要となるモノ、その数量をリストアップすること。その上で、それらを収納するためには、どの程度のスペースが必要か、どのような収納方法が適しているのかを検討していくことが大切です。多くは、まず、テレビやAV機器、周辺機器の収納スペースを確保する必要があるでしょう。パソコンやFAXなどの機器をリビングに置くケースも。また、新聞や雑誌、書籍、幼い子供がいる場合は、おもちゃや絵本などをしまう場所も考えておきたいもの。その他、アイロンや裁縫道具、薬箱、家計関係や学校、町内の書類などを収納するスペースが必要な場合もあるでしょう。
Point 2 設置したい収納スペースのボリュームを検討する
収納したいモノやその量をリストアップしたら、どの程度のボリュームの壁面収納が必要かの検討を。リビング空間に壁面以外の収納スペースがある場合やダイニングの収納が充実している場合など、それぞれとの役割分担を明確にしつつ考えていきましょう。壁面収納だけでなく、間取りや空間プランと同時にプランニングすることで、適切なボリュームの壁面収納となるでしょう。Point 3 隠す収納か、見せる収納か、収納の目的を明確にする
すべてを隠してすっきりと見せるのもいいですが、くつろぎのリビングであれば、季節を感じるモノ、家族の作品、コレクションを飾るスペースを設けてもいいでしょう。棚板やカウンターだけを組み合わせたり、ガラスや樹脂など、透過性のある素材を用いた扉材を用いるなど、見せる収納のスペースを確保したプランも考えられます。照明を組み込むなどして、演出効果を高めてもいいでしょう。何を、どのように飾りたいのかをイメージして、組み合わせを検討することが大切です。上下に分けたユニットと飾り棚を組み合わせ、軽やかな印象に。[システムファニチャー セットプラン] パナソニック エコソリューションズ
Point 4 テレビ+周辺機器の配置、必要なソフト類の収納方法を決定する
リビングの収納プランを考えた時、多くの場合、ポイントとなるのがテレビまわりでしょう。新築を機に大画面テレビを購入する方も多く、壁面収納のユニットの上に置くだけでなく、壁に掛けるプランも考えられます。メーカーの商品では、テレビの大きさに合わせた部材を選ぶことができたり、壁掛けにできる部材を揃えた商品もみられます。配線をすっきりと見せる工夫が施されているもの、ガラス扉を閉めたままでもリモコン操作ができるタイプなども揃っています。また、周辺機器やAV機器、取扱説明書やソフト類など多くのアイテムがあるので、それらのサイズや数量などを確認し、収納スペースの確保を。将来的な買い替えや増える可能性のあるモノを予測しておくことも大切です。
Point5 リビングのインテリアに合わせて扉材などを決める
プランニングにもよりますが、壁面の多くを占めるだけに、扉の素材やデザインは重要なポイントです。インテリアのイメージを大きく左右するため、空間全体との調和に配慮して選ぶこと。レイアウトや扉の色味などによっては、圧迫感を感じることもあるので注意が必要です。異なる色の扉を組み合わせたり、ガラスやパネルを用いた扉としたり。部分的にオープン棚としてもいいでしょう。最近のインテリアの傾向は、シンプルなデザイン。どこか温かみのあるナチュラルな雰囲気が好まれています。扉材にも、木の素材感を感じるような木目柄デザインも多くみられ、木肌感を立体的に表したタイプも揃っています。
Point 6 モノに合わせ、出し入れしやすく、使いやすい扉の開閉方法を
扉を設ける場合、開閉のしやすさを確認することも大切です。開き戸には、扉表面を手で軽く押すだけでスムーズにオープンするタイプもみられますし、ゆっくりと減速しながら閉まるタイプも。また、上から下へ、下から上へ開く、フラップ扉などもみられます。テレビまわりのプランニングの場合、下開きのフラップダウンであれば、開けても扉が邪魔にならず、録画機器などの操作やセッティングもしやすいでしょう。また、引き出しの開閉操作なども確認しておきたいポイントです。Point 7 収納するモノに合わせたユニットやパーツを組み合わせる
壁面をギャラリーと収納を兼ねたプラン。[ハピアベイシスハンギング収納 ハピアウォール機能タイプ] DAIKEN
メーカー商品には、いくつかの奥行きサイズを揃えた商品もありますし、収納するモノに合わせた収納ユニットやパーツなども豊富に揃っています。たとえば、テレビまわりの映像ソフトをたっぷりと収納できるスペースを確保したもの、使いやすい仕切りや自由に高さを変えることができる棚板などもみられます。
また、パソコンやプリンター、FAX電話や携帯電話などの収納スペースに適したタイプも。電源ケーブル、モデムやルーターなどの配線をすっきりと納めることができるものやマルチメディアコンセントやLAN付コンセントなどを設置できるタイプなど。充電しながらスタンバイできるように工夫されたユニットや周辺機器の設置に便利なキャスター付きワゴンなどもみられます。Point 8 使いやすさだけでなく安全性も確認する
家族がくつろぐ場であるリビングの収納は、安全性の確認も必要でしょう。地震など強い揺れでも倒壊しないよう壁面へねじで固定したもの、ユニット同士も同様に固定したものなどがみられます。テレビを据え置いた場合に、バックパネルとワイヤーでつなぎ転倒を防ぐ工夫がなされた商品も。また、揺れを感じると作動し、扉を施錠する耐震ロックも配慮しておきたいポイントです。その他、万が一ガラスが割れた際にも、破片が室内に飛び散りにくい飛散防止フィルム貼りのガラス扉を用意した商品もあるので、確認しておきましょう。壁面収納をプランニングする際には、ショールームなどで、商品の存在感やレイアウトによる雰囲気の違いなども確かめること。最近多くみられる空間展示では、内装材や家具などとのコーディネートも参考にするといいでしょう。カタログに掲載されている、さまざまなプラン例もイメージしやすいものですし、メーカーによっては、ホームページ上でプランシミュレーションができるコーナーを用意しているところもあるので、いくつかのプランを比較してみるのもいいでしょう。
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