パワーも燃費も向上
今回試乗したのは、GL550 4MATIC。「BlueDIRECT」と命名された直噴ツインターボエンジンは435ps/700Nmという申し分のないスペックを誇る。実際に期待どおり分厚いトルクとハイパワーでシーンを問わず豪快な加速感を得られる。
先代も新型GLクラスも2.5t級の巨体だが、先代は5.5LのV8から387ps/530Nmを得ていたから大幅な性能向上だ。アイドリングストップや最新の7速ATである「7G-TRONIC PLUS」の高効率な変速もあって、燃費も従来モデルよりも約44%向上している。
GLクラスを指名するような懐の温かいユーザーは、環境への配慮や経済面から燃費がいいのに越したことはないだろうが、それよりもガソリンスタンドに入る回数が減る(手間が省ける)ことを歓迎するのではないだろうか。
シーンを問わず快適な乗り味
高めのフロアに乗り込み、見晴らしのいい運転席に収まる。街中では想像よりも乗り心地がよく、ドイツ車的な引き締まったものではなく、アメリカンSUVのようなロングストロークのゆったりした足の動きが心地良い。
高速道路に場所を移しても大きく動き足と高いボディ剛性感により、ゆったりでいながら車内はどこまでも安定していて疲れにくい。
さらに、少々路面が荒れている所でも難なく衝撃を吸収してクリアしてしまうのも美点だ。ボディの剛性感の高さに加えて、下界から遮断されたような音・振動対策の恩恵を存分に受けられる静かな車内はどこまでも心地良い。
3つの走行モードを用意
エアサスペンションには「アダプティブ・ダンピング・システム」が備わり、「Auto」のほかに、「Comfort」、「Sport」モードが用意されるが、個人的には「Comfort」はもちろん「Auto」でも乗り心地がソフトに感じられ、「Sport」が好ましく感じられた。
ハンドリングの面でも「Comfort」と「Auto」は中立付近の手応えがややダルに感じられるが、「Sport」にすればステアリングやタイヤから伝わる情報もよく分かるし、ややクイックになるパワステや引き締まった足まわりによってボディコントロールがしやすくなる。
とくに、この巨体で狭い首都高速などをややハイペースで走らせる際には「Sport」モードが好ましく感じられた。
今回はオフロードを走らせる機会はなかったが、スイッチ操作ひとつでパワートレーンやブレーキを制御するオフロードモードや、急勾配の下りをクリアする際に重宝する「ダウンヒル・スピード・レギュレーション」も装備されるからスキーエクスプレスとしてはもちろん、日本の林道をもし走るようなことがあっても機動性は十分に確保されている。
よりオフロード走行を重視するなら「Auto」と「Sport」に加えて「Offroad1」、「Offroad2」、「Snow」が加わる「ON&OFFROADパッケージ」をチョイスすればいい。
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