好条件の社債を買うには情報収集の早さが鍵
2013年6月、ソフトバンクが4000億円もの個人向け社債を発行したのは記憶に新しいところです。発行額が多額であったことから、取り扱う証券会社も大和証券2000億円、野村証券540億円、みずほ証券500億円、SMBC日興証券400億円など全9社となり、購入した投資家も多いのではないでしょうか。ソフトバンクは2~3月(募集期間)にも3000億円の社債を発行しましたが、このように数千億円規模の個人向け社債が発行されるのはまれで、そのほとんどが数百億円規模。購入したくても購入できないという投資家が多いといわれています。もちろん、発行額が大きくても、自分が利用している証券会社が取り扱っていなかったり、取扱金額が少なくて購入できなかったりする例も多いようです。
社債は随時発行であることから、よい条件の社債を購入するためには、いかに発行情報を早く入手できるかが鍵になります。募集期間が2週間ほど設けられていても、初日か募集開始後数日で完売してしまうことから、情報をできるだけ早く入手して購入行動を起こすことが大切だからです。
可能であれば、金融庁の「EDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)」を毎日閲覧すればいいのですが、そこまで情報のアンテナを張るのは個人では難しいでしょう。何を隠そう、筆者もこまめにEDINETをチェックできず、日経ヴェリタスなどを活用しているのが現状です。
限られた人しか発行情報を得られない社債も
日経ヴェリタスを推奨するわけではありませんが、社債の発行情報がまとまっていて、また定期的に情報が入手できる点では一歩抜きん出ていることは確かです。しかしながら、日経ヴェリタスにも記載されず、瞬く間に完売してしまう社債が発行されていることを見逃してはなりません。2013年7月だけをみても、マネックスグループが償還期間3年、利率1.30%の社債を20億円発行。SBIホールディングスが償還期間1年、利率1.55%の社債を200億円発行、などというようにです。マネックスグループ、SBIホールディングスは年数回発行していますが、発行情報が大きく報道されることはありません。ちなみに、マネックスグループは先着順で購入できますが、SBIホールディングスは抽選となっています。
この2社は主にメールマガジンを介して募集告知を行っています。つまりマネックス証券やSBI証券に口座を開設している人しか情報を入手できないのです。
面倒臭いなどと考えるのであれば、わざわざ口座を開設する必要はありません。しかし、高いといわれるネット定期預金ですら0.5%しかない時代に、1%を上回る利子を提供してくれるのです。今回のマネックスグループの社債は3年ものですが、2013年春先に出した社債は償還期間1年=1.00%、6カ月=0.70%でした。
社債発行で先行する2社以外にも、以下のように募集が広がりつつあることを見逃してはなりません。
- 東海東京フィナンシャル・ホールディングス:償還期限1年、利率0.6%、発行額56億円
- あかつきフィナンシャルグループ:償還期限1年、利率1.85%、発行額5億円
社債購入はフットワーク軽く動くことが大切です。過去および今後の募集状況を鑑みて、いくつかの証券会社に口座を開設しておく必要があるといえそうです。
なお、本文中の社債はあくまでも直近の発行例をあげたもので、投資に際しての最終判断はご自身で行っていただきたいと思います。また、筆者の情報入手不足でいずれかの媒体で募集の報道がされている場合はご容赦ください。
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