投資で勝つために必要なのは人間力
投資成功に必要な力を解説
失敗して自分の未熟さに気が付く
だいたいの人が、投資で失敗をして、深く振り返ると、問題は自分にあったことを知らされるのです。だから、損をすることも失敗をすることも大事なわけで、そこから学び、再挑戦して、初めて一人前の投資家に育っていきます。本連載『大人のお金トレーニング講座』では、そんな心の持ち方や考え方をご案内していきます。さて、人が投資に成功する能力として、どんなスキルが必要でしょうか?今回は、投資に必要な2つの「人間力」について取り上げます。
私は、普通の人がお金を増やすために必要なスキルはまず、次の2つだと考えています。
1.決める力
2.選ぶ力
この2つの力について具体的に解説していきます。
「決める力」の身に付け方
投資とは不確実な未来を前提としています。確実な未来などありません。もしあったとしたら、そこでお金を増やす機会は発見できないでしょう。不安があるから、リターンが得られるのです。不安が好きな人はあまりいませんから、それを最小化したくて、時間をかけます。時間をかけることで、物事が成就する確率は高まります。不確実な未来が前提ですが、早く始めるほどに、投資が失敗する不確実性が無くなるというわけです。
そこで問題になるのは、投資の必要性に気が付いたときに、速やかに始める行動力です。投資を始めるときに、考えれば考えるほどに、「分からない」ということが分かってくるはずです。そこで、マーケットやチャートの読み方などについて、どんどん勉強をするようになりますが、しょせん不確実な未来を前提にしている以上、いくら勉強しても絶対的な正解には出会いません。
比較的な確実な方向性、普遍的と思える原則に賭けるくらいしかないのです。だからこそ、私たちは歴史を学ぶ必要があるのですが、勉強や準備も適当な所で見切りを付けて、決断して始めることが肝要なのです。
投資を始めるための勉強や、どれを買えばいいのかなど、迷うばかりでいつまでも投資を始められない人がいたら、それは投資に必要な第一のスキル「決める力」が欠けているに違いありません。慎重すぎる人の前に成功の女神は現れません。
では、決める力をつけるには、どんなトレーニングがあるでしょうか? それは、できるだけ小さなことから、約束ごとを作って、自分で履行していくことです。そして、約束を守る、計画を実行する、課題を乗り越える。そのことによる成果を手に入れて、小さな喜びを味わってください。
たとえば、
・毎朝あと10分早く起きる
・アルコール、タバコなどの最後の一本を控える
・1ページでよいから本を読む
やればできる自分の可能性に気が付いて、それを反復して拡大していいたらいいと思います。Yes,You can!ともいえます。
もし、決めてもできなかった場合には、そこから教訓を学べればいいのです。結果よりも、決めたことに挑戦した自分を承認する終わり方が大事です。
ただし、決める力ばかりで、他のスキルがない場合には、すぐに失敗してしまいます。以下に述べる「選ぶ力」も身につける必要があります。
「選ぶ力」の身に付け方
投資に失敗する人は、ほとんどが出会い頭に投資をしています。想像もしていなかったウマい(ようにみえる)投資話に出会って、そのまま入れ込んでしまいます。こういう人は、選ぶ力がない以前に、選ぼうとする知恵がないのです。必ず、複数の選択肢の中から選ぶという習慣を身につけてください。
選ぶ力の一番大事なことは、まず選ぼうとすること。その次に、正しく比べて選ぶことが必要です。これは、比べる力、分析する力とも言い直すことができます。
投資で比べる力として、言い古された常套句があります。それは、「オレンジとリンゴを比べても意味がない」です。つまり、カテゴリーの違う相場や商品を比べて、優劣を付けても意味がないということです。
たとえば、年利15%で回るというヘッジファンドと年利10%で回っていた株式市場を比べても意味がありません。ヘッジファンドの15%は期待であり(酷にいえば希望的観測かもしれない)、株式市場の騰落率は実績だからです。それなのに、これだけ聞いて、ヘッジファンドを信頼してしまう人が多いのです。
比較するときには、カテゴリーだけではなくて、時期もそろえなければなりません。
たとえば、2013年の日本株の騰落率と20世紀後半の50年間の香港株式市場の騰落率を比べて、日本株の優位性を語っても無意味です。確かに、2013年に日本株は爆騰しましたが、それは20年ぶりであり、長期間のリターンで比較してみれば、圧倒的に香港市場のハンセン指数の方が勝っているのです(長期間のリターン:日経平均株価 4%、ハンセン指数 16%。1970年からの32年間から計算した年平均騰落率)。
まずは、事実をありのまま受け止める英知を身につけましょう。
そのために、どんな場面でも選択肢を意識する生活をすることを提案します。カレーライスにするかラーメンにするか?ジャズを聞くかロックを聞くか?ハワイに行くかカナダにいくか?
こんなところから、選ぶ力は養われるのです。