メルセデス・ベンツ/メルセデス・ベンツの車種情報・試乗レポート

メルセデスEクラスが渾身のビッグマイナーチェンジ

メルセデス・ベンツの中核をなすEクラスのセダンおよびステーションワゴンの日本導入モデルがビッグマイナーチェンジ。一変したフロントマスクをはじめ、全体で計2000箇所以上におよぶというマイナーチェンジとしては異例の変更が加えられている。新型Eクラスはどのくらい進化したのか?

岡本 幸一郎

執筆者:岡本 幸一郎

車ガイド

またしても2000箇所以上におよぶ変更

メルセデス・ベンツEクラス

Eクラスのセダンとステーションワゴンだけで実に21種類のモデルが日本に導入される。価格帯は595万円(E250)~1817万円(E63 AMG S 4MATICステーションワゴン)

2009年に登場した4代目W212系メルセデス・ベンツEクラスのマイナーチェンジが実施されました。結論を先に述べると、まったく最近のメルセデスは、マイナーチェンジを待ってから買ったほうが賢明なのかもしれないと思わされた次第です。というのは、同じく「2000箇所以上におよぶ変更」とアナウンスしていた2年前のCクラスのマイナーチェンジのときもそうでしたが、あまりに大幅な洗練と進化をはたしているからです。

見てのとおり、まず外観がマイナーチェンジとしては異例なほど大きく印象が変わっています。フロントマスクだけでなく、サイドでは特徴的だったリアのタイヤハウスに沿って入れられていたラインを廃し、かわって用いた2本のキャラクターラインにより伸びやかなサイドビューを演出しています。リアも新デザインのリアコンビランプや、大型化されたエグゾーストエンドなどが与えられ、よりダイナミックな印象が増しています。前後ランプのLEDの使い方もより大胆になっています。

実車よりも先に写真で見たときは、クセの強いデザインに少し戸惑いを感じたのですが、すでに見慣れ、むしろアグレッシブでよいなと思っています。はじめは違和感があっても見慣れると新しいほうがずっとよく見えるというのも、メルセデスではよくあることです。
メルセデス・ベンツEクラス

「AMGスポーツパッケージ」を装着した「E250アバンギャルド」。ベース車に対し、AMGスタイリングパッケージ(フロントスポイラー、サイド&リアスカート)、18インチAMGツインスポークアルミホイール、Mercedes-Benzロゴ付きブレーキキャリパー&ドリルドベンチレーテッドディスク(フロント)、ブラックアッシュウッドインテリアトリム、AMGスポーツステアリング、AMGスポーツシート(前席)などが装備される

一部モデルではパワートレインが大きく変わっています。まず、これまで1.8リッターの直4直噴ターボエンジンが搭載されていた「E250」系には、新開発の2リッター直4直噴ターボエンジンが搭載されました。このエンジンは、世界で初めて成層燃焼リーンバーンとターボチャージャー、EGRを組み合わせているのが特徴。フィーリングはどちらかというと最近のクリーンディーゼルに近く、あまりピックアップや吹け上がりが鋭い印象ではありませんが、1.8リッター時代よりもずっと実用域のトルク感が高く、滑らかな回転感を持っているという、効率と運転しやすさを重視した「いまどき」な感じのエンジンです。おそらく「E250」系が販売のメイングレードとなると思われますが、多くのユーザーにとって大きな不満を感じることなく使えることと思います。

乗り心地はいたって快適です。足まわりはしなやかに動きながら、姿勢はフラットを保ち、従来よりもどこがどうよくなったというよりも、すべてにわたってソフィスケイトされたという印象です。

Eクラスとして初めてのハイブリッドである「E400ハイブリッド アバンギャルド」が日本に導入されたのもニュース。3.5リッターV6直噴エンジンと20kWのモーターを組み合わせ、リチウムイオンバッテリーをボンネット内に搭載するので、トランク形状がガソリン車と同一というあたり、内容としてはSクラスのハイブリッドと近いものがあります。しかし、35km/hまではモーターのみでの走行が可能で、またクルーズ走行時は頻繁にエンジンが停止し、制御が非常に緻密に行なわれるなど、システムの制御はまったく別物で、世代が一歩進んでいることを感じさせます。反面、ブレーキフィールにやや違和感があるのは否めませんが、実燃費はかなりに高いことと思われます。

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