キヤノンの自社株買いはこの5年で4000億円!
キヤノンは、株価の急落局面において、機動的な自社株買いを行っています。この5年間で実施した自社株買いは実に8回です。取締役会において決議した自社株買いは次の通りです。
- 2008年9月16日 上限500億円(1450万株)
- 2008年10月30日 上限500億円(2000万株)
- 2010年9月9日 上限500億円(1500万株)
- 2011年5月25日 上限500億円(1500万株)
- 2011年8月11日 上限500億円(1500万株)
- 2012年2月2日 上限500億円(1600万株)
- 2012年6月4日 上限500億円(1700万株)
- 2012年7月30日 上限500億円(2100万株)
単純に合計すると上限予算は4000億円(1億3350万株)もの金額になります。実際に実行した額は、約4000億円(1億1558万株)でした。取締役会で自社株買いを決議したとしても、必ずしも満額を実行しなくてもよいです。しかし、キヤノンはほぼ満額を実行したのです。
2008年の自社株買いの時点で発行済株式数が12億6111万株でしたから、これに対して約9.2%もの自社株買いを5年間で実施したことになります。
【図 キヤノンのチャートと自社株買い】
チャートを見れば、株価が下落した局面で機動的に自社株買いを実行していることがわかります。これにより、短期的な需給を改善すると同時に、1株利益(EPS)も向上させ、既存株主に報いようとしてきたのです。
自社株買いを実施したのに株価が振るわないように見えるかもしれません。しかし、デジカメのシェアがスマホに喰われていく厳しい事業環境において、本来であればもっと株価が下落していたのではないでしょうか。それを自社株買いで抑制できたとも考えられます。
ちなみに、自社株買いは、いつでも可能なわけではありません。例えば、キヤノンのような12月決算の会社であれば、3月末、6月末、9月末、12月末を基準に四半期決算を行います。例えば3月末日から、その四半期決算を発表する日までの間は、インサイダー取引になりかねないことから、自社株買いを自粛するのが一般的です。決算短信の発表日が4月25日であれば、3月31日から4月25日までは、自社株買いを控えます。
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