Q4)厚生年金基金に入っていた人の年金は減る?
A)厚生年金分は減りませんが、独自の企業年金部分では減額がありえます厚生年金基金の積立は、国の厚生年金の一部を預かっている部分と、独自の企業年金部分とがありますが、年金の保証はそれぞれ異なります。
まず、国の厚生年金に相当する部分については、国に返上したのち、国が将来年金の給付を行います。この際に、ペナルティ等が個人に負わされることはありません。国の年金については厚生年金基金に加入していたかは関係なく給付が保証されます。
ただし、独自の企業年金部分については厚生年金基金ごとに財政状況を勘案して給付が保証されます。財政に余裕があったところはほとんどそのまま給付が保全されて新制度に引き継がれますし、財政的にマイナスの状態にあった場合は、給付を引き下げることもあります。個々の厚生年金基金ごとに異なりますので、確認をしてみてください。
Q5)厚生年金基金に入っていた会社の負担はどうなる?
A)積立不足があった場合、会社がその穴埋め負担を行いますもし、厚生年金基金の資産が、国に返すべき厚生年金の一部に見合わない場合、差額は会社が補てんします。積立不足の額、社員の加入履歴や人数に応じて負担額は異なりますので、一概にはいえませんが厚生労働省の資料によれば、1人あたり平均44万円程度になるのではないかと見込まれています。
積立不足については、15~20年の分割払いも認められますので、穴埋めだけが原因で企業の倒産が続発することは少ないと思われます。また、この積立不足額は株価の上昇などにより積立不足が減り、軽減されることも考えられます。
Q6)その他の会社員の年金にしわ寄せはある?
A)ありません。普通の会社員にしわ寄せはありません厚生年金基金の解散問題が、厚生年金基金とは関係ない会社員の厚生年金額や、厚生年金基金とは関係がない、すでに年金生活に入っているお年寄りの老齢厚生年金額に影響することはありません。
今回の改正のポイントは、厚生年金基金とは関係がない人の年金に、厚生年金基金の問題が影響を及ぼさないようにすることであり、負担増や給付減額による影響はありません。
Q7)新しい企業年金の受け皿はどんな制度?
A)確定給付企業年金、確定拠出年金、中小企業退職金共済が受け皿になりますもし、国に厚生年金の預かり分を返納しても、企業年金の独自部分に余裕がある場合、精算して社員やOBに支払う方法もありますが、新しい企業年金を設立し存続する道を選択することもあります。
全体としては約6~7割については国に返上しても、財産が残るとみられており、このうち少なくないところで新たな受け皿となる企業年金が利用可能でしょう。
法律上受け皿として規定されているのは、確定給付企業年金、確定拠出年金、中小企業退職金共済です。確定給付企業年金、確定拠出年金については業界団体等が音頭を取って設立するケースと、個々の企業が自社の社員のみを対象に設立するケースが想定されます。
こうした選択肢は厚生年金基金が解散のプロセスに入ったのち、示されるものと思われます。
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