都会での生活を享受してきた後に選び取る、第二のふるさとでの暮らし。いきなり田舎暮らしを目指しても、文字通り荒野に放り出されるようなもの。快適な暮らしへソフトランディングするためには事前の準備が肝心です。何が次の人生を豊かにするのか、じっくりと田舎でのライフスタイルを吟味しておきたいものです。

さて、今日は「田舎で茶の湯」を学ぼうか!

1時限目:田舎の茶の湯は「お茶の子さいさい」

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茶の湯。茶道具や茶室に対する教養と美意識を競い、四季の移ろいを慈しみ、花鳥風月を愛でる……。先人たちは茶の湯という日本の文化を味わいながら楽しんでいました。

さて、苦労しないでできることを「お茶の子さいさい」といいます。「お茶の子」とはお茶に添えて出される茶菓子のことで、簡単に食べられることから容易にできる喩えとなったとか。

茶の湯のキツイ縛りを解き放って、田舎暮らしならではの茶の湯が楽しめないか?亭主(茶の湯で茶をたてて接待する人)の気持ちがこもってさえいれば、これはもう立派なもてなし。今回は、お茶の子さいさいで茶人になる方法を提案します。

2時限目:盆略(ぼんりゃく)で田舎の茶人になりきる

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まず、キッチンやテラスを茶室に見立てます。茶碗に茶杓、茶筅の三つがあれば、何時でも何処でも茶の湯が楽しめます。それが「盆略」。茶道の稽古を始めた人が最初に習う、一番シンプルなお点前です。

茶の湯の道具も家庭にある物を上手に見立てて楽しむ、裏千家の発想です。今回は、それを田舎暮らし風にアレンジしてみましょう。

・カフェケトルを鉄瓶を見立てる

コーヒーをドリップするのに使う電気式ケトル。そう、あの電気の力を借りてお湯を沸かす薬缶(やかん)ですね。電気プレートに水を入れたケトルを置き、スイッチをオンにするだけでお湯が沸きます。沸騰後は自動的に電源が切れるし、ケルト自体はコードレスのため持ち運び自由という優れものです。

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・キャニスターを棗(なつめ)に見立てる

「棗」とは抹茶を入れる容器で、主に薄茶において用いられていますね。本来は木製漆塗りですが、田舎の茶の湯ではキャニスター(保存容器)がオススメです。それも透明で中身が透けて見えるもの。蓋がキュッと閉まるボンボン入れや、シーズニング(調味料)ポットなどもお好みでどうぞ。田舎の風景に抹茶のグリーンがよく似合います。

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3時限目:その他の道具を見立てる

・茶碗/陶器市などで買ってきて、部屋の何処かに置き忘れた可哀想な茶碗があるはずです。無かったら大振りの白いカフェオレボウルなどで、大胆にどうぞ。

・茶杓/抹茶を茶器からすくって茶碗に入れるための茶匙。一般に竹製が多用されています。これは柄の長いティースプーンで代用。

・茶筅(ちゃせん)/竹で作られた茶を掻き混ぜるあの可愛いやつですね。茶筅の種類は穂の数により和穂・中荒穂・荒穂に分けられ、濃茶・薄茶を立てるのに使い分けられています。これだけは購入しましょう。代用品ではふっくら、クリーミーにならない。

・床・掛物/掛軸の絵柄は、色を抑えた水墨画風のタッチが雰囲気が出ますね。

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四季の野菜のモノクロ写真、シンプルな線と色が魅力のキース・ヘリングのポップアート、宮本武蔵が主人公の『バガボンド』(井上雄彦)の圧倒的なパワーが迫る劇画等々。

もちろん、画集や漫画本の拡大コピーで結構、これを骨董屋で値切り倒してきた古い掛軸に張り付けます。すると、ほ~ら、あっという間に茶の湯の宇宙空間の出来上がり。ちなみにガイドの私は、Macで制作したCGを和紙に印刷して、悦に入っています。

さて「盆略」の準備は整った。厳かに正座して頂くのもよし、縁側に腰掛けてもよし。ご近所の「粋人」たちに声をかけ、畑の野菜の出来具合い等を話題にして、田舎暮らしのコミュニケーションに務めましょう。存分に田舎の茶人の世界をお楽しみあれ!
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