『マンハッタンラブストーリー』と小泉今日子
純喫茶「マンハッタン」を舞台に、店長(松岡昌宏)、店員、常連客が連鎖的に片思いしあうトリッキーな恋愛ドラマ。片思いもA:タクシー運転手・赤羽伸子(小泉今日子)→B:振付師・別所秀樹(及川光博)→C:人気脚本家・千倉真紀(森下愛子)……とABC順に片思い。F:俳優・船越英一郎と本人が入り、G:店員・蒲生純(塚本高史)は実はXXXだし、途中でガラッと構造が変わってしまうしと相当凝った構成になっています。
80年代アイドルは『あまちゃん』では母親・天野春子役の小泉今日子。『マンハッタン』の赤羽伸子はタクシー業界のアイドル(タクドル)で人気があるが、機嫌が悪くなると柄が悪くなる、天野春子とも小泉今日子本人ともイメージがダブります。
『あまちゃん』で別れた夫役の尾美としのりとは『マンハッタン』でも共演。タクドルである赤羽伸子の運転手の先輩でファン。こちらも『あまちゃん』とリンクしています。
小泉今日子は女優として『マンハッタン』の前のドラマは独身女役の『恋愛結婚のルール』に平凡な主婦が恋に落ちる『恋を何年休んでますか』など正統派ヒロインを演じています。しかし『マンハッタン』の次に特別出演した『すいか』ではヒロイン(小林聡美)の元同僚の三億円横領犯になり、最近の『最後から二番目の恋』『あまちゃん』につながる路線にシフト。『マンハッタンラブストーリー』が大きなターニングポイントになっています。
『吾輩は主婦である』と斉藤由貴
矢名家は幸せな4人家族だったが、レコード会社に勤務する夫・たかし(及川光博)がミュージカルへの夢をかなえるために退社し無職に。そのため姑・ちよこ(竹下景子)の家に同居。お金のやりくりに頭を悩ました妻・みどり(斉藤由貴)に、千円札(当時)の夏目漱石の魂がおりてくる。漱石となったみどりは家庭やご近所のトラブルを解決していくという奇想天外だけど、家族や絆の大切さを感じさせる家族全員でも楽しめるホームドラマです。破天荒とホノボノの両立ということでは『時間ですよ』『寺内貫太郎一家』などの久世光彦演出作品と似てます。そういえば久世作品も天地真理、浅田美代子、小泉今日子などアイドル使いがうまいというのも共通点。
「宮藤官九郎が朝ドラの脚本を書く」と発表があったとき、マニアックなクドカンで朝ドラだいじょうぶ?という疑問の声も一部ありましたが、ガイドは個人的に不安はありませんでした。『吾輩は主婦である』を見ていたから。
放送されたのはTBS系昼13:00の30分で月~金の帯ドラマだからフォーマットとしては朝ドラに一番近い。メインターゲットの主婦にうけるものができるんだから朝ドラも十分に期待出来ました。
斉藤由貴はヒット作『はね駒』主演の朝ドラ出身女優。最近でも『おひさま』で現代の陽子(若尾文子)の回想の聞き役として登場。ぼちぼちヒロインの母親役を期待したいところです。