哲学的な質問
なぜ勉強しなくちゃいけないの?
この手の問いについて考えることは、答えのなさそうな問いに対して自分なりの考えをもつことの訓練になります。ぜひ親子で語り合ったらいいと思います。「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」というような問いに対したときこそ、未知なる状況に接しても狼狽することなく、道理を見極めて対処する能力、すなわち「生きる力」が試されます。そのようなときに大人が、「考えてもしょうがない」と言って考えるのをやめてしまったり、無理矢理「正解のようなもの」をねつ造してしまったりしたら、子どもたちの「生きる力」は引き出せません。逆にそのようなことを親子でじっくり語り合うことはまさに、子どもの「生きる力」を引き出すことになります。「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」というような問いはそのためにあるとも考えられます。
「なぜウソをついちゃいけないの?」「なぜ大人は仕事しなくちゃいけないの?」というような問いも同じです。
そしてどうしても答えがわからないときは、まず親が、「どうなるかわからないのだけれど、どうなるかわかるまでやってみようと思う」というような姿勢を示せばいいのではないでしょうか。言葉で説明のできないことを生き様で示すのです。それが親にできる最高の教育ではないかと思います。
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『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』(おおたとしまさ編著、日経BP刊)
荒俣宏、内田樹、瀬戸内寂聴、坂東眞理子、福岡伸一、藤原和博、茂木健一郎、養老孟司 という超豪華8人の識者に聞いた、勉強の本当の意味。子どもにはやさしく、大人には詳しく解説します。小学校高学年から大人までが読めるようになっていますが、小さなお子様をおもちの親御さんがお読みになれば、将来の教育について考える上で有益だと思います。