アパートマンション経営/アパート・マンション経営のはじめ方

自宅で賃貸経営する ~アパート活用編~(2ページ目)

つい先日、私達の将来もらえる年金の給付水準が、50%割れを起こすという試算を厚生労働省が発表しました。平たく言えば、年金額が下がる、という問題です。

佐藤 益弘

執筆者:佐藤 益弘

不動産にまつわるお金ガイド

前回同様に、不動産は個別性が強いので、あくまで一例ですが・・・。
都内に、アパート一棟の価格が約7,400万円、部屋数12戸、満室時の賃料総額が約660万円、木造で築年数22年、という物件があります。
またアパートの維持費は、固定資産税やメンテナンス料で、年間100万円とします。

この物件の一室に住み、最近の空室率から、2部屋は空いていると想定すれば、
7,400万円÷(660万円―165万円―100万円)=18.7341・・・。
おおよそ19年も残りの部屋を賃貸に出せれば、後は利益を生んでくれる訳です。
投資として考えれば、約5%の収益を生んでくれます。

賃貸中の部屋は、管理会社をつければ、(手数料はかかるものの)管理の手間も無くなります。
築年数による修繕費、空室率のさらなる上昇には注意が必要ですが・・・。
あとは、事前の下調べさえしっかりしていれば、十分な結果を出す事もできるでしょう。

いかがですか?
賃貸経営をご検討中の方にとっては、この手法も十分に検討の余地はあるでしょう。


この方法のメリットは?注意点は?

まず、この方法の良いところは『コストを割安にできる』点です。

自宅と賃貸用物件、この両方を一度に購入するため、別々に購入するよりも割安で買えます。
それぞれにかかる維持費も、一物件にまとめられるため、その分安くなります。
いわゆる『まとめ買い』の効果が得られます。
また、同じ場所に住むため、ご自身での管理も容易なので、管理会社の必要性も薄くなります。

そして、『一度に複数の部屋(賃貸用物件)を持てるため、細かな活用ができる』点もあります。

例えば、8室中当初は7室を賃貸に出していたものの、1室を倉庫に使いたくなった・・・。
こんな時でも、残り6室は賃貸に出したままで、(そこが空室なら)1室を有効利用できます。


また、『節税効果』も見逃せません。

自宅と比べて、アパートは固定資産税や都市計画税が安くなります。
相続時においても、自宅を相続するのと比べて税金が安くなるのです。
経営によっては、サラリーマンの方でも所得税が戻ってくる事もあります。

しかし、やはりこの方法にも、少しだけ注意する点があります。

まず、アパートを購入し、その一室に住むという点から・・・
1.自宅のみを購入するのに比べて、購入資金や維持費が割高な事が多い
2.一室に住む分、賃貸収入は減る
3.ローン活用の場合、住宅ローンと比べて、割高な金利のアパートローンを組む必要がある
といった点は、ご注意下さい。

特に、この方法の場合、『今住んでいる自宅を売却する』事が前提である事が多いです。
近年は不動産価格が下落傾向のため、売却しても、十分な資金を用意できない事もあります。

また最近の不動産事情から・・・
1.1億円以下の物件は数が減ってきており、探すのが困難
2.高額な物件は状況によっては、ローンが組めない
3.築年数の多い物件では維持費(リフォーム費用)が高くなる
といった点もあります。

そして、賃借人が複数の場合が多いため、管理の労力もその分増えます。
それにアパートは木造建築の事も多いため、火災保険等が割高になる事が多いです。
すぐ近くに同居するため、賃借人との近所つきあいの問題もあります。

ご自身の将来設計をしっかりと考えた上で、この方法をご検討下さい。


いかがでしたか?
前回の『元々の家を賃貸する』方法と比べて、また違った感想を持たれる事でしょう。

しかし『自宅で賃貸経営する』方法はまだあります。
次回、最後は『賃貸併用住宅に建て替える』方法をお伝え致します。

こうご期待。
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