2012年9月に発生が報告された中東呼吸器症候群、MERS。患者からSARSと同じような新型コロナウイルスが検出されました。死亡率の高いこの感染症について、現在わかっている基本情報を解説します。

中東呼吸器症候群(MERS)とは

中近東

現在、中近東で発生が多いです

中東呼吸器症候群(MERS)とは、マーズコロナウイルスという新型のコロナウイルスによって起こる重症肺炎です。MERSとは、Middle East respiratory syndromeの略で、その原因ウイルスMERS-CoVは、Middle East respiratory syndrome coronavirus(MERS-CoV)の略。中東のヨルダン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦から発生が見られたことから、中東呼吸器症候群と命名されました。

コロナウイルスというと、2002~2003年にかけて世界中で発生した重症急性呼吸器症候群、SARSの原因ウイルスとして知られています。

SARSは8,098名の感染者と、774名の死亡者を出しました。MERSは2015年2月にWHOの報告から、971名の確定診断され、356名が死亡しています。死亡率37%です。WHOの6月12日現在の報告では、韓国125名、中国1名が診断され、10名が死亡されています(2015年6月12日追記)。韓国ではMERSと診断される人が増えています。

中東呼吸器症候群(MERS)の感染経路

今回のMERSコロナウイルスの感染経路は現時点では不明です。SARSコロナウイルスは、キクガシラコウモリが持つコウモリコロナウイルスが遺伝子の変化によって、ハクビシンなどを介し、人に感染したと推定されています。

MERSコロナウイルスもコウモリコロナウイルスに近いと報告されております。現時点では、ヒトからヒトへの感染はありますが、大流行するほどではないと言われています。ただし、ヒトからヒトへの感染の可能性があることから、大流行に対して注視しておく必要があります。
ラクダやヤギなどの家畜から人に感染して拡がっていると推定されています。

2015年から韓国で流行しています。現在までにヨーロッパ(イタリア、英国、オーストリア、オランダ、ギリシャ、ドイツ、フランス、トルコ)、アフリカ(アルジェリア、エジプト、チュニジア)、アジア(フィリピン、マレーシア、韓国、中国)、アメリカ大陸(アメリカ合衆国)で患者が発生していますが、中近東への渡航歴がある人か、その渡航歴のある人と接触した人です。

発症する場合は、接触から14日以内に症状が出ると考えられています。

中東呼吸器症候群(MERS)の症状

呼吸困難

咳がひどく、呼吸がしにくくなります

MERSは、SARSの症状と非常に似ています。

発熱、咳、呼吸困難といった、重症肺炎の症状です。さらに腎臓の働きが悪くなる腎不全を合併することがあります。重症の肺炎のため、呼吸ができなくなります。つまり、肺で酸素を取り込むができなくなってしまうのです。

下痢などの消化器症状があります。

中東呼吸器症候群(MERS)の治療

現時点では、コロナウイルスに対する特効薬はありません。そのために、重症の呼吸器症状について、酸素投与、人工呼吸器での治療が行われます。人工呼吸器でも体の酸素を上げることができない時には、膜型人工肺といって、一旦血液を体に出して、酸素化して体内に戻す治療が行われます。

中東呼吸器症候群(MERS)の予後

現時点で特効薬がないために、もともと基礎疾患があると、かなり重症化します。2015年2月でのWHOの報告では、約40%の死亡率です。SARSの死亡率でも約10%でしたので、感染した場合の死亡率の高さがわかると思います。

ヒトからヒトへの感染はありますが、現時点では限定的です。しかし、接触時間が長い、接触距離が短いなどの状況で、ヒトからヒトへの感染が拡大する可能性もあります。イスラム教では、10月にメッカ大巡礼があるために、多くの人が集まる事で感染が拡大することが危惧されています。

中東呼吸器症候群(MERS)の予防法

現時点では、中東への必要のない訪問は避けた方がいいかもしれません。やむをえず訪問する場合は、動物との接触を避け、人混みもできれば避けた方がいいかもしれません。

2015年現在では、韓国への不要な訪問も避けた方が望ましいかもしれません。

もちろん、感染予防の基本が大事ですので、手洗いとうがいも怠らないようにしましょう。マスクの着用もしておきたいものです。

14日以内に中近東、韓国に渡航歴のある人で、発熱、咳のある人は、まずは保健所に相談してください。直接、医療機関に受診すると、万が一、MERSであれば、2次感染を起こし、感染を拡大させてしまうことになります。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項