株式戦略マル秘レポート/西村剛の「統計で勝つトレード」

ボラティリティの高い相場は、指値注文が有効

日経平均株価は、5月23日の前日比1143円安の大幅な下落以降、ボラティリティが高い相場が続いています。ボラティリティが高い相場では、株価の上下が激しく、買い付けするタイミングによっては、大きな損失を被るリスクがあります。今回は、このような局面で取るべき投資スタンスをご紹介します。

西村 剛

執筆者:西村 剛

株式ガイド

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日経平均株価は、5月23日の前日比1143円安の大幅な下落以降、ボラティリティの高い相場が続いています。ボラティリティが高い相場では、株価の上下が激しく、銘柄を買い付けするタイミングによっては、大きな損失を被るリスクがあります。今回は、このような局面で取るべき投資スタンスをご紹介します。

相場につられて下がっている銘柄を指値で狙う

ボラティリティが高い局面では、銘柄を安く買い付けできる反面、「買い付けする銘柄」や「買い付けするタイミング」によっては、大きな損失を被るリスクがあります。

こういった局面では、短期的に急落している銘柄を指値で買い付けする「押し目買い戦略」が有効といえるでしょう。

現状の相場(2013年5月末時点)では、日本株全体の下落につられて大きく値下がりしている銘柄が数多く散見されます。それらの銘柄を、指値で注文を出すことで不用意な損失を回避し、急落後のリバウンドのチャンスをつかむことができるでしょう。

「押し目買い戦略」の一例としては、以下のような戦略があります。
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【押し目買い戦略】
終値が前日終値と比較して10%以上下落した銘柄を、
翌日に「指値-5%」で買い
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指値を「当日終値の-5%」とすることで、買い付け後に株価がさらに下落して、損失を被るリスクを軽減することができます。

ボラティリティが高い相場では、「成行」注文で銘柄を買い付けすることは、とても危険です。特に短期間のトレードに関しては、「成行」での買い付けは、高値づかみを招きやすいため、なるべく行わないほうがよいでしょう。

では、本当に「指値」注文のほうが「成行」注文よりも成績が良好であるかを、実際に検証を行って確認してみましょう。今回は、以下のような条件で分析を行いました。
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検証条件

■検証対象
日経平均採用銘柄(225銘柄)

■買いルール
【パターン1】
終値が前日終値と比べて10%以上下落した翌日に、「成行」で買い
【パターン2】
終値が前日終値と比べて10%以上下落した翌日に、「指値-5%」で買い

■売りルール
7日間経過したら、翌日に「成行」で売り
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では、さっそく検証を行っていきます。まず、「成行」注文の成績から確認しましょう。検証結果は、以下の通りです。

成行注文で買い付けした場合

システムトレードの達人

システムトレードの達人


勝率: 63.14 %
勝ち数: 1261 回
負け数: 736 回
引き分け数: 31 回

平均損益(円): 1万2888 円  平均損益(率): 4.30 %
平均利益(円): 3万4700 円  平均利益(率): 11.57 %
平均損失(円): -2万3939 円  平均損失(率): -7.98 %

合計損益(円): 2613万7165 円  合計損益(率): 8712.46 %
合計利益(円): 4375万6338 円  合計利益(率): 1万4585.64 %
合計損失(円): -1761万9173 円  合計損失(率): -5873.17 %

プロフィット・ファクター(総利益÷総損失): 2.483
平均保持日数: 8.47 日

以上が、終値が前日終値と比べて10%以上下落した翌日に、「成行」で買い付けした場合の検証結果です。勝率は63.14%、1トレードあたりの平均損益は4.3%です。勝率は6割と高く、平均損益も大きなプラスとなっているために、「終値が前日終値と比べて10%以上」下落する銘柄を買い付ける手法は、統計的に有効な戦略といえます。

では次に、「指値-5%」で注文を出した場合の検証結果を確認していきましょう。

指値注文で買い付けした場合

システムトレードの達人

システムトレードの達人


勝率: 69.63 %
勝ち数: 470 回
負け数: 205 回
引き分け数: 7 回

平均損益(円): 2万5561 円  平均損益(率): 8.52 %
平均利益(円): 4万9096 円  平均利益(率): 16.37 %
平均損失(円): -2万7524 円  平均損失(率): -9.17 %

合計損益(円): 1743万2696 円  合計損益(率): 5810.94 %
合計利益(円): 2307万5165 円  合計利益(率): 7691.79 %
合計損失(円): -564万2469 円  合計損失(率): -1880.85 %

プロフィット・ファクター(総利益÷総損失): 4.090
平均保持日数: 8.68 日

以上が、終値が前日終値と比べて10%以上下落した翌日に、「指値-5%」で買い付けした場合の検証結果です。検証結果を見てみると、勝率は69.6%、平均損益は8.52%です。「成行」で買い付けしたときの成績と比較して、勝率は6.5ポイント上昇し、1トレードあたりの平均損益は、2倍近くまで上昇しています。この結果から、「指値」注文で買い付けした方が、より利益が期待できるといえるでしょう。

ボラティリティが高く、高値と安値の幅大きい相場では、万が一高値で買い付けを行ってしまうと、たった1日で大きな損失を被るリスクがあります。こういった局面では、指値を深く設定することで、高値で買い付ける危険性を回避することができます。

日経平均が大きく下落した局面は、「押し目買い」で利益を狙えるチャンスです。しかし一方で、株価がリバウンドせずに下落するリスクもあるため、「押し目買い」戦略を実践される場合には、「指値」注文で買い付けるとよいでしょう。

ここで注意したいのは、今回の検証は、あくまでも過去のデータに基づいたシミュレーションであり、将来を保証するものではありません。ただ、株の売買を行う際に、今回のように簡単に検証を行うことで、どの程度のリターンを期待でき、どの程度リスクがあるのか事前に把握することができます。みなさんも投資をする際には、一度検証してみてください。きっと投資に対して安心感が違うことでしょう。

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(このテーマでの検証については、【システムトレードの達人】を使って検証しています。記事の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性、利用者にとっての有用性を保証するものではありません。当社及び関係者は一切の責任を負わないものとします。投資判断はご自身の責任でお願いします)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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