今だからこそ、オトナの見栄えがよく似合う
熟成に熟成を重ねた最終ガヤルド。時が経てば、MY13の1年間だけ作られた形、として、語り継がれることになるであろう最終型ガヤルドの日本仕様試乗会が、沖縄県宮古島で開催された。主に試乗したのは、LP560-4のスパイダー仕様であった。
ブルーメタリックにベージュのトップ。一般的なイメージからすると実にランボルギーニらしくないシャレたカラーコーディネートだが、デビュー後10年もたって、ある意味、ギラギラした勢いよりも成熟の雰囲気を色濃く漂わせるスーパーカーには、こういうオトナの見栄えがよく似合うと思う。今だからこそ!
走りの方も、当然ながら、ガヤルド史上最高の仕上がりだった。獰猛なV10サウンドはそのままに、2ペダルミッションの変速マナーは明らかに向上し、シャシーの動きにはまるでこの個体が既にすべての道を経験してきたかのように余裕があって、乗り心地は異例に良く、そして身のこなし=ハンドリングは“一体感”と呼ぶにふさわしい。機械も、確かに熟成するという好例である。
雨上がりの海ぞいの郊外路は、なぜかアイルランドのカントリーロードを思い出させた。アップダウンがあって、ゆるやかなコーナーが適度に続く。スポーツカーを走らせるには、絶好のロケーション。
知り合いの編集者が駆るガヤルドのクーペを追って、がんがん攻込む。ともに過ごす時間が1分増すごとに、そしてキープするコーナリング速度が1km/h増すごとに、クルマとの一体感もまた増していくのが、明らかに感じられて、気分がどうしようもなく昂揚していく。
観光客の多い街中では、速度を落として走るわけだけれども、扱いづらさは微塵もなく、細い路地でのすれ違いはもちろんのこと、方向転換を余儀なくされても、絶妙な一体感と巧妙なボディサイズのおかげで、苦労と思う場面がまるでなかった。
要するに、乗れば乗るほどに、惚れていく。それはもう、デビュー後10年たったモデルとは思えないほどに……。
なるほど、これがスーパーカーの底力というわけか。
宮古島の北、池間を走っている際には、派手なトライクに乗る御仁から追いかけられもした。クルマを停めて、何事かと聞いてみれば、ガヤルドをみかけて、池間島を周回する道を反対から追っかけたのだという。どこかで必ず出会うはず、だと。
聞けば、クルマが大好き(愛車はポルシェターボ)というヴィラオーナーだった。横に乗せてあげれば、たいそう喜んで、プライベートビーチ付きのヴィラを案内してくれた。安くするからまたアソビに来い、という。
出会いの妙もまた、スーパーカーに乗ることの醍醐味である。
Photo/ランボルギーニ・ジャパン