米国から液化天然ガス(LNG)の対日輸出解禁へ
恩恵は海運、電力、ガスなどに
日本は原発事故以来、発電の多くを火力に依存してきたこともあり、燃料費負担の重さが課題であったわけですが、これによりエネルギーコスト低減につながると想定されます。その結果、5月21日以降、日本企業で恩恵を受けそうな銘柄に資金が流入しています。具体的な業績への影響は、現状でははっきりとはわからないものの、液化天然ガスの対日輸出解禁は株式市場において大きく材料視されているようです。
例えば、円安により火力発電燃料費の増加懸念が指摘されている東京電力や関西電力、中部電力などは、液化天然ガスの輸入によるコスト削減効果は大きく期待されます。そのため、株式市場でも期待は膨らみ、東京電力の株価を見てみると5月20日の始値が656円、5月21日の終値は815円とたった2日間で24%ほども上昇しています。
また、タンカー輸送を手掛ける海運も株高となっています。例えば、日本郵船の株価は5月20日の始値が275円に対し、5月21日の終値は298円と8.3%の上昇。シェールガス関連の中でも、日本株でいえば電力や海運株がにぎわっています。
ただし、足元で株価が上昇している電力や海運が今後も上昇するかは未知数です。短期資金による資金流入と想定されるため、長期的に持続するかどうかは、実際にどのぐらい米国から液化天然ガスが輸出されるか、また金額がどの位なのかにかかってくるといえます。
長い目で恩恵を受けると考えるのであれば、電力や海運、ガスなどの銘柄を毎月コツコツ買っていく、下がった時に買うなどと購入方法を決めて買われるとよいでしょう。
2017年とまだまだ先の話ではありますので、いずれ株価が落ち着いてくることを考えるのであれば、短期決戦で売買するのも手だとは思います。
長期で期待できるシェールガス、投信で恩恵を享受する方法も
それでは日本株にとどまらず、米国のシェールガス開発により恩恵を受けそうな銘柄に投資するにはどうすればよいでしょうか。シェールガス関連銘柄としてとりあげるのであれば、シェールガス田やシェールオイル田で操業している石油・天然ガス生産会社に投資を行うのも一つの手です。例えば、ニューヨーク証券取引所に上場するデボン・エナジーやオアシス石油、マラソンオイルなどがその代表例です。
こうした個別銘柄に投資するだけのリスクが取れる方はよいものの、外国株でしかも個別銘柄に投資はちょっと……という方には、キャピタルアセットマネジメントが運用を行う「世界シェールガス株ファンド」に投資する方法もよいといえます。
この投資信託は、ネット証券であるSBI証券や楽天証券でも購入でき、今密かに注目しておきたい注目のファンドといえます。世界(特にアメリカやカナダなど)の株式市場に上場する企業の中から、シェールガスの探査、開発、生産及びその関連業務を行う企業の発行する株式に投資が行われています。
短期間で見れば、中国経済の成長鈍化などの影響でエネルギー関連株は下落する恐れもありますが、円安傾向で為替差益が見込める点、米国の景気回復が着実なものとなってくれば、エネルギー関連株も上昇の一途をたどるでしょう。
そして、長期で見れば、シェールガス関連銘柄は米国のシェールガス増産、輸出増により恩恵を受けると考えられます。
毎月積立などを利用し、分散投資をはかりながら、長期で見てシェールガス関連で恩恵を享受できる体制を整えておくと、ポートフォリオのパフォーマンスに好影響を与えるかもしれませんよ。
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