401kに地味で重要な大変化?
2013年3月29日、日本版401kこと確定拠出年金の世界に、地味ですが重要な変化が起こりました。ニュースも金融機関もあまり紹介してくれない「いいニュース」をここで、読者の皆さんにこっそりお教えしたいと思います。確定拠出年金は、会社の退職金を在職中から1人ひとりの専用口座に入金し、運用は自分で行う仕組みです。そして、確定拠出年金を採用した会社は、社員に対して投資教育を行う義務があります。会社が今まで準備責任があったものを、自己責任で運用をしてもらう制度に切り替えるからです。このとき、どんな投資教育を行うか、厚生労働省が通達をもってそのリストを示していました。このリストが改定されたのです。
投資教育、といえば「株の仕組み(金融商品の特徴の理解)」とか「分散投資の活用(投資手法の理解)」というようなテーマが思い浮かぶと思います。こうしたテーマは既に取り上げられており、教育現場で実際に学習項目にされていました。ところが、今回追加されたのは今までに上がっていた項目の充実ではなく、意外な項目の追加でした。それは「老後の生活設計」というテーマです。
投資信託を通じて株や債券で運用し、お金を増やしていく方法を学ぶ場に、なぜ生活設計をたてることが必要とされたのでしょうか。実はそこに、「本来、投資教育で行うべき課題」があったのです。
生活設計がなぜ投資に必要なのか
生活設計、つまりライフプランといえば、保険の見直しや節約、貯金の実行のために、ファイナンシャルプランナーと相談するものとしてよく知られています。テレビや雑誌で、なかなかお金が貯まらない家庭にFPがアドバイスする姿を見たことがある人もいるでしょう。しかし、資産運用とライフプランはあまり関係がないような気がします。ところが、ライフプランは、資産運用を考える際に、きちんと整理しておくべきテーマだったのです。私たちのほとんどは、投資をするとき、なんとなく買うものを決めたり、なんとなく買う金額を決めています。「値上がりしそう」という感覚的なものや、値上がり期待への「欲」を投資判断の軸にしています。
実はこれ、あまり適当な考えではありません。きちんと「いくら投資するか」「どんな投資対象を保有したいか」「どれくらい損してもいいが、どれくらい増える計画だ」といった部分を自分で決めた上で、具体的な商品額や購入額の検討をすべきなのです。そのときキーワードとなるのは、自分自身の「生活設計」なのです。
たとえば、「自分としては資産の半分以上を、リスク運用するのはやりすぎだと思う」と考える人であれば、購入金額をセルフコントロールすることができます。どんなに儲かりそうな相場であっても下がることはあるわけで、失敗したときの損失を抑えるのは、「生活設計」にもとづく自己判断です。
>>実はライフプランを金融機関は教えてくれない。教えたくない? 次ページへ