科学推理ものの名作
科学推理もの、その古典的名作といえば1968年放送の『怪奇大作戦』。円谷プロが『ウルトラセブン』に続いて制作した作品で、変身ヒーローはおらずSRI(科学捜査研究所)が超常現象にみえる事件を科学的に捜査するドラマです。真相は欲望や社会の歪みなどを原因とした人間の悪意が科学技術により増幅されたものだとしたものが多く、昭和40年代の明るい未来像を描いた『ウルトラマン』に対して、こちらはダークサイドを描いています。
時代背景としては公害など高度経済成長時代の問題が表面化した時期。また同年『ゲゲゲの鬼太郎』が初めてアニメ化されて妖怪がブームになっていて、それを円谷プロ的に解釈すると『怪奇大作戦』になったというところでしょう。現代も『ゲゲゲの女房』のヒットで水木しげるの妖怪ものが見直されてきて、同じような状況にあります。
よく似たエピソードは『ガリレオ』第1シーズンの第一章「燃える」と『怪奇大作戦』第4話「恐怖の電話」でともに人体発火事件。『ガリレオ』は携帯電話とレーザー、『怪奇大作戦』は固定電話と超音波がトリックになっています。
『怪奇大作戦』で湯川学的存在の冷静沈着な科学者・牧史郎を演じたのは今なおカルト的人気のある岸田森。岡本喜八、実相寺昭雄、神代辰巳といった名監督の常連で、映画『血を吸う薔薇』など「血を吸う」シリーズで吸血鬼役を演じ、和製ドラキュラと呼ばれました。
テレビドラマでは『傷だらけの天使』での助演が有名で、このあたりの縁で萩原健一、水谷豊、松田優作らに慕われていました。