モータースポーツ/SUPER GTについて

世界最速のGTマシン、最後の競演は見逃せない!(2ページ目)

2013年のSUPER GTが面白い! GT500クラスを中心にその面白さをご紹介。3メーカーがオリジナルGTマシンでバトルを繰り広げるのも今年がラスト。世界最速のGTマシンの走りが見れる喜びを噛みしめよう!

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

世界一のGTマシンが闘うGT500

SC430

GT500クラスのレクサスSC430 【写真提供:SUPER GT】


市販スポーツカーを原点にしたGT(グランドツーリングカー)のレースは世界各国に存在する。しかし、SUPER GTのGT500クラスほど、オリジナリティあふれるマシンが闘っているレースは他に無い。もともとGT500クラスのマシンは市販車に近いものであったが、シャシー前後のパイプフレーム化が行われた2003年からは市販車ベースというよりは市販車の形をした「純然たるレーシングカー」に変貌した。3メーカーが規定を元に独自にレーシングGTの開発を続け、結果的にGT500クラスは世界一速いGTマシンが走るレースになっている。

ラップタイムを見てもGT500のマシンの速さが分かる。鈴鹿サーキットでいえば、テストでホンダのGT500マシン「HSV-010GT」は1分49秒台のコースレコードを上回るタイムを出しているし、共通規定のエンジンを搭載するフォーミュラカー「スーパーフォーミュラ」のマシンと比べても10秒ほどの差である。GT500の車重は1100kg。スーパーフォーミュラはドライバー込みで約700kgという車重の差を考えると、GT500マシンがいかに優れた運動性能を持ったスペシャルマシンかが分かる。とんでもなく速い。海外でもこれだけ速いGTマシンが走っているレースは他に存在しない。


現行規定は今年がラスト!

GT-R

GT500クラスのニッサンGT-R 【写真提供:SUPER GT】



独自の規定で、独自の開発プロセスを経て、世界で最も速いGTマシンになったGT500クラス。しかしながら、各メーカーがイチからオリジナルで作り上げたマシンは、カーボン素材が多用されているのもあり、高額な製作費と開発費を必要とする。

そこで、SUPER GTは2014年以降のGT500新規定として、ドイツを中心に開催されているDTM(ドイツツーリングカー選手権)と車体の規定を共通化する。DTMにはアウディ、メルセデス、BMWというドイツの3メーカーが参戦し、それぞれのメーカーの車種が参戦しているが、3社のマシンはモノコックなど車体に関する大部分を共通化して同じものを使っている。3社のマシンは外見こそ違えど、車体に関する部分は基本的に同じであるため、大幅なコスト削減が実現できているのだ。
DTM

メルセデスのDTMマシン 【写真:Daimler】


2014年以降のGT500では低コストを実現したDTMと同じ規定のモノコック、パーツなどを使用することで、DTM同様のコストダウンを目指している。現行のオリジナルGTマシンは開発するメーカー側にはやりがいのある仕事になるが、このままではランニングコストもクラッシュ時の修復コストも高騰していってしまう。そこで、DTM規定を取り入れて車体の費用を抑え、より接近戦になりやすい状況を作り出そうという考えだ。

また、エンジンに関しても2014年から変更がある。現行の3.4リッターV型8気筒NAから、2.0リッター直列4気筒直噴ターボエンジンへと移行する。さらにDTMも2016年から同じエンジン規定を採用すると見られ、今後はそれぞれのシリーズに参戦するメーカーがシリーズの枠を越えて参戦できる状況が生まれそうな情勢だ。

ということで、GT500で完全オリジナルのマシンが走るのは今年が最後となる。

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