倒産・民事再生/倒産・民事再生の基本

倒産物件はお買い得?(2ページ目)

倒産物件と聞くと、一般市民には近寄りがたいワケあり物件というマイナスイメージがあり、倒産後にどのように処分されているのか知られていません。しかし、実際には倒産直前まで倒産会社が使用していた物件で、モノには問題がないということも珍しくなく、一般の方が破産管財人から購入することも十分可能です。

執筆者:榊原 正治朗


倒産物件を任意売却で購入する際の留意点

倒産物件の任意売却でも、通常の不動産売買と同様、不動産仲介業者から情報提供を受けられる点では同じですが、倒産物件を購入する際のメリット、デメリットは最低限理解しておきましょう。

まず、倒産物件を任意売却で購入する最大のメリットは、何といっても価格が安いことです。破産管財人も担保権者もなるべく早めに換金したいという意向がありますから、一般的な売買価格よりも値引きに応じることが通常です。

もっとも、そうは言っても、競売による落札見込価格よりも低い金額での任意売却に応じることはありませんし、「早い者勝ち」という面がありますので、どうしても購入したい物件であれば、値引き交渉にあまり時間を費やすのは考え物です。

特に、融資を利用して購入を検討している場合、条件付きでの不確定な購入申込とならざるを得ないため、売主の破産管財人の立場からすると、融資を利用しない購入希望者が他にいる場合、そちらと優先交渉をすることも十分あり得ます。
破産管財人との売買契約

契約前によく現状確認を



また、価格が安い反面、現状のままでの物件引渡となり、購入後に何らかの不具合(瑕疵)が見つかった場合でも、補償や返金を通常受けられないというデメリットには十分留意が必要です。

ただ、倒産物件に限らず、中古物件を購入する場合には、経年劣化による瑕疵が潜んでいるリスクは一定程度ありますし、売主も後日補償等が確実にできるとは限りません。むしろ、倒産物件の場合には、売却の動機は単に所有していた会社の倒産ということであって、物件そのものには何の問題もないお買い得な物件ということも少なくありません。

このように倒産物件を任意売却で購入する際には、物件の現状をよく確認し、何らかの修繕費用が将来発生する可能性もある程度見込んだ上で、最後は自己責任で決断することが重要なのです。
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