村上春樹さんによる対談本『小澤征爾さんと、音楽について話をする』を追体験できるCD!
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の発売も一大ニュースとなった作家、村上春樹さん。同作でラザール・ベルマン演奏によるリストのピアノ曲『巡礼の年』、アルフレッド・ブレンデル演奏による同じくリストの『巡礼の年』が出てきたり、前作『1Q84』でもジョージ・セル指揮によるヤナーチェクの『シンフォニエッタ』が登場するなど、クラシック好きを感じますよね。
そんな村上さんによるクラシックへの言及の最たるものとなったのが、2011年に発売された『小澤征爾さんと、音楽について話をする』。そのタイトルどおり、日本を代表する指揮者・小澤征爾さんと1年弱の時間を何度かに分けて音楽について対談したもので、クラシック音楽ファンなら一読を勧める良著。
指揮者がどうやって音楽を作っていくのか、といった誰が読んでも興味深い内容から、師であったバーンスタインやカラヤン、グールド、クライバーの在りし日の姿など、クラシックファンにとって垂涎の情報まで盛りだくさん。
対談以前より親しい間柄であるからかリラックスした様子が伺え、また村上さんがとても熱心で優れた音楽の聴き手であるため、充実した内容となっています。
そして嬉しいことに、この本で言及された音楽を聴ける3枚組の新譜CD『『小澤征爾さんと、音楽について話をする』で聴いたクラシック』がこの度、発売。
書籍と同様、グレン・グールドとレナード・バーンスタインによる有名なブラームスのピアノ協奏曲第1番から始まり、語られた音を実際に聴いていけるわけですが、中でも、二人が行う聴き比べのうち、小澤さんが指揮をした、ベルリオーズ『幻想交響曲』第4楽章のボストン響版とサイトウ・キネン・オーケストラ版、マーラー交響曲第1番『巨人』第3楽章のボストン響版とサイトウ・キネン・オーケストラ版が収録され、本の内容を追体験できるのは嬉しい限り。
1973年の勢いある演奏から、直近ではサイトウ・キネン・オーケストラによる2010年のライブ、ブラームス『交響曲第1番』第1楽章、ブリテン『戦争レクイエム』怒りの日、チャイコフスキー『弦楽セレナーデ』まで、現在では病と闘いながらも前を向き続ける小澤さんの深化する音楽を味わえます。
もちろん、対談で語られた曲すべてが収録されているわけではありませんが、本を読んで「聴いてみたいが音源を集めるのは大変そう……」と半ば諦めていた人には絶対オススメする一枚。
本をまだ読んでいない、という方はぜひセットで買って聴きながら読むことをオススメします!
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